A.結論として、メンタル対策を「従業員ケア」ではなく「経営リスク対策」として提案することです。メンタル不調による休職コストや、安全配慮義務違反などの訴訟リスクを経営者に明確に示します。その上で、就業規則の整備や休職・復職支援プログラムといった「予防と制度設計」をセットで提案することで顧問契約に繋がります。
近年、精神障害による労災認定件数は過去最多を更新し続けており、中小企業にとってもメンタルヘルス対策は一刻の猶予もない経営課題となっています。
しかし、多くの経営者は「うちはアットホームだから大丈夫」「専門家に頼むほどではない」と、その重大性を過小評価しがちです。
ここで社労士が提示すべきは、「メンタル不調を放置することによる目に見える損失と、法的責任の重さ」です。
これを切り口に、企業の防御力を高める「予防と制度設計」をセットで提案することで、高単価な顧問契約やコンサルティング案件の受注へと繋がります。
1. 経営者が直視すべき「多額のコスト」と「法的リスク」
メンタルヘルス対策の重要性を説く際、感情論だけで訴えるのは不十分です。
経営者の視点に立ち、放置することによって「会社が具体的にどのような実害を被るか」を明確に示しましょう。
▼膨らみ続ける「見えない損失」
従業員一人がメンタル不調で休職した場合、その穴を埋めるための採用・教育費、残った社員への残業代支払い、さらには社会保険料の会社負担分など、年収の数倍に及ぶ経営的損失が発生します。
▼安全配慮義務違反という「致命的な責任」
万が一、適切な対策を怠ったことで過労自殺や重度の障害を招いた場合、企業は数千万円から億単位の損害賠償を命じられる恐れがあります。これは、中小企業にとっては一瞬で経営を揺るがすほどのダメージとなります。
2. 「予防・制度・対応」の3点セットを提案する
リスクを提示した後は、具体的な解決策をパッケージ化して提案します。社労士だからこそできる「制度の構築」が受注の決め手となります。
ステップ1
就業規則の整備(会社の盾を作る)
「休職期間の定めは現状に即しているか」「復職判断の基準は明確か」といった、トラブルを未然に防ぐためのルール作りを提案します。
曖昧な規定が引き起こす泥沼の紛争を回避するための、「守りの就業規則」です。
ステップ2
休職・復職支援プログラムの構築(運用の仕組み化)
不調者が出た際、誰が・いつ・どのように連絡を取り、どのような手順で復職を判断するのかという「社内手順書」を策定します。現場の混乱を最小限に抑えるための体制構築です。
ステップ3
外部相談窓口(EAP)としての機能提供
「社内の人間には話しにくい」という従業員の本音を拾い、問題が深刻化する前にキャッチアップする外部窓口として、事務所が機能することを提案します。
結論
メンタル対策は「経営防衛策」である
メンタルヘルス相談から受注を勝ち取るためには、「従業員の心を守ることは、会社と経営者の財産を守ることそのものである」というメッセージを徹底することです。
潜在的な経営損失と訴訟リスクを可視化し、それを未然に防ぐための就業規則と制度設計をセットで提供する。
この一貫したロジックで提案を行うことで、価格競争とは無縁の、経営に深く入り込む高付加価値な社労士としての地位を確立できるはずです。



