A.相続登記義務化を契機とした施策として、制度の期限や過料(10万円以下)を明記したチラシを高齢者層へ配布し、セミナーや相談会へ誘導することが有効です。
登記放置のリスク啓発に加え、相続土地国庫帰属制度と掛け合わせたテーマで訴求することも反響率を高め、受任件数の増加に繋がります。
義務化がもたらした「追い風」はいつまで?
2024年4月1日、改正不動産登記法が施行され、相続登記がついに義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければならず、正当な理由なく違反した場合は10万円以下の過料の対象となります。さらに見落とせないのが、過去の相続も対象であるという点です。2024年4月1日以前に発生した未登記の相続についても、2027年3月31日までに手続きを完了させる必要があります。
この法改正は、司法書士にとって間違いなく大きな「商機」です。これまで「いつかやればいい」と先送りにされてきた相続登記が、法的義務として国民に課されたことで、潜在的なニーズが一気に顕在化しました。
しかし相続登記の義務化による案件数増加はそう長くは続きません。
実際に2023~2024年は前年と比較しても相続登記の申請件数は例年の120%ほどで伸びていましたが、(統計局より)2025年には例年通りの数値まで戻り、相続登記義務化バブルは落ち着きをみせています。
施策①
「2027年問題」を切り口にした啓発活動まず取り組むべきは、過去の未登記相続に対する期限の周知活動です。「2027年3月31日」という猶予期限は、既存の顧客や地域住民に対して強力な行動喚起の材料になります。チラシ・ニュースレター・SNS・ホームページなど、複数チャネルで「あなたの実家の名義、確認しましたか?」というメッセージを継続的に発信しましょう。
特に効果的なのは、無料相談会の定期開催です。「相続登記の義務化について、まず話を聞いてみたい」という入口の低いニーズに応えることで、見込み客との接点を増やすことができます。地域の公民館や金融機関のロビーを借りて実施すると、集客面でも協力を得やすく、紹介ルートの開拓にも繋がります。
施策②
士業・金融機関・不動産業者との連携強化相続登記の義務化ニーズをもとに、税理士・行政書士・不動産業者・金融機関などと共催セミナーを実施していくのも一つの手法です。
特に不動産などの場合は、単なる義務化だけではなく、”名義の変更されていない不動産” は売買ができるなくなるケースが多く、そのタイミングで相続登記を実施するケースも少なくありません。
このように、どの業界も一定数の相続登記ニーズがありますので、2027年に向けて相続登記とフックに共催セミナーを実施し、新規顧客を獲得していくこく手法です。
施策③
WEB集客と問い合わせ導線の整備相続登記の義務化について聞いたから相談したい、とWEBで問い合わせを獲得するケースも往々にしてあります。相続登記の義務化が開始されて1年たっても、1年以上たってもまだWEBでの問い合わせは多いです。
このタイミングだからこそ「相続登記 義務化 商機」「相続登記 罰則」「相続登記 いつまで」といった検索ニーズに対応したコンテンツをホームページ上に整備することは、今まさに効果を発揮しやすいタイミングです。
SEO対策として、義務化の概要・手続きの流れ・費用感・よくある質問などを丁寧に解説したページを作成することがポイントです。
また専門的な内容を「わかりやすく」まとめたLPを制作するのも効果的です。お客様のニーズとLPの内容を一致させることによって、問い合わせ率を大幅に開戦します。他にはLINE公式アカウントやGoogleビジネスプロフィールの活用も、地域密着型の事務所には特に有効です。問い合わせのハードルを下げ、まず気軽に連絡できる環境を整えることが大切です。
施策④
「相続登記」を入口にした業務の横展開相続登記の受任は、それ単体で終わらせない視点が重要です。相続が発生したということは、遺産分割協議、遺言書の作成支援、成年後見、相続放棄、家族信託など、周辺業務が派生する可能性が高い場面です。
相続登記を依頼してくれた相談者さまに対して、「今後の相続対策も含めてご相談いただけます」と案内することで、一件の受任が中長期的な顧問関係へと発展することがあります。また、兄弟・親戚への紹介を通じて、新たな受任につながるケースも少なくありません。相続登記を「点」ではなく「線」で捉えるサービス設計が、事務所の収益構造を安定させます。
まとめ
相続登記の義務化は、一度きりの波ではありません。今後も毎年一定数の相続が発生し続ける以上、この分野の需要は構造的に拡大していきます。2027年3月の猶予期限に向けたニーズのピークをしっかり捉えながら、紹介ネットワークの構築・WEB集客の強化・周辺業務への横展開という三位一体の施策を着実に実行することが、受任件数の増加と事務所の持続的な成長につながるでしょう。
義務化という制度の変化を、単なる業務量の増加として受け取るのではなく、地域の相続相談の窓口として司法書士事務所のポジションを確立する絶好の機会として捉えることが、これからの時代における差別化戦略の核心です。



