1船井流経営法とは
船井総研では、創業者である船井幸雄や各コンサルタントが確立した業績アップ理論・考え方を総称して 「船井流経営法」と呼んでいます。
「船井流経営法」には、企業が繁栄するためには「経営の原理原則を守り、 時流適応していかなければならない」というセオリーがあります。 実際に長い歴史を持ち、継続的な高収益を実現する強い経営体質を持っている企業を見ると、 激変する時流に適応しながら原理原則に沿った経営をしていることがわかります。
そこで本章では、船井流経営法の原理原則について学んでいきます。
参考:「原理」と「原則」の違い
・「原理」とは…もともと世の中にあった理(ことわり)を指し、我々が発見したものをいう。
船井流でよく使われる「天地自然の理」や「ツキの原理」といったものは、 我々が誕生する前から存在していたものであり、その存在に気付いただけものである。
・「原則」とは…我々人間がルール化(汎用性の高い一般化)したものや産み出したものなどを指す。 例えば、「伸びる法則」や「時流適応の法則」などの原則は、 船井流経営法の長年培われてきたものであり、それをルール化したものである。
2 船井流経営法の原理原則
1. 成功の3条件
船井総研の創業者である船井幸雄は、伸びる会社・経営者は、
1)勉強好き、 2)プラス発 3)素直 の3つのクセがついているといいます。
経営者がこの基本条件を備えていなければ、成功の確率は低くなり、 備えていれば、成功は70%保証できると著書の中で述べています。
この3つを船井総研では、「船井流成功の3条件」と呼んでいます。
この3つの条件を兼ね備えたならば、次に経営者は正しい目的を持つことが必要だといわれます。
正しい目的の第一は、世のため人のためになることをすること、つまり社会性の追求。
第二は、教育性を高めること。そして第三は収益性を高め、企業として大きくなることです。
では、なぜこの3つの条件が成功を支える要素といえるのでしょうか。 それは、この3つの条件こそ、人間だけが先天的に与えられた特性を活かしているからなのです。
2. 人間だけが先天的に与えられた特性
人間には人間だけに与えられた次のような3つの特性があります。
それを追求することを「人間特性の追及」といいます。
頭脳=勉強好き
人間には使えば使うほどよくなる頭があります。 よって、できるだけ頭を使うことが大切です。
良心=素直
人間は、「理性的な意志」「情動的な意志」「本能的な意志」の3つで動きます。 人間以外の動物には、「理性的な意志」はありません。 そのため、できるだけ理性的に生きることが必要です。 ここでいう「理性的な意志」とは、悪いことはやめ、よいと思うことを実行する意思を指します。
理性=プラス発想
心に思ったことや、口にした言葉が実現します。そのため、なるべくよいことを思い、よい言葉を吐くことが重要です。
(1)勉強好き=知らないことを追求し、吸収しようとする姿勢
勉強好きとは? 勉強好きな人とは、次のような人を指します。
1) 知らないことが好き
2) 知らないことに挑戦することが好き
実は、勉強好きな人ほど、世の中には知っていることよりも知らないことのほうが多いことに気づいてます。 また、様々なことについて勉強している人には、次から次に新しい情報が入ってきます。 逆に、もう自分は「世の中のことはよく知っている」と思う人は、 世界を広げようという意識のアンテナをめぐらしていないがゆえに、自分の世界が広がりません。 言い換えると、自分の殻に閉じこもってしまっているということになります。
歳をとると頑固になっていくのは、その1つの現れなのかもしれません。 勉強好きになるとは、 「自分の知らない部分を埋める」 「知らないということすら知らない部分を埋める」 ということに前向きに取り組む姿勢のことであり、業績アップするために重要な要素なのです。
(2)素直=すべてをあるがままに受け入れる柔軟さ
素直の定義とは、「知らないことを否定しない」ことです。
人は、自分の知らないことに対して、つい否定してしまいがちですが、それでは情報は集まりません。 本当に優秀な経営者は、すべてをまず受け入れることができるようです 。
また、そういった人には、次々に新しい情報が集まってきます。
たとえば、新しい業績アップの手法を教えてもらったとしましょう。 そのときの反応としては、次の2つが考えられます。
・「それはうちのエリア・会社では無理ですよ。」とか「それはそれでいいんですけど・・・」といったように、 初めから消極的に捉えて、試してもいないのに否定する
・1度でも1日でもいいので、それを実際に試してみて、 自分に合っていれば使い続け、合っていなければやめる (一度受け入れ、それから判断する) 後者のような、一度やってみてから判断するというスタンスを「素直」といいます。
もう1つ例を挙げてみましょう。
「僕は雲を消すことができるんだ」という人がいるとします。 こう聞いたときの反応としては、次の3つのパターンが考えられるでしょう。
A 「へえ、そんなことができるんだ。その人はすごい!」
B 「そんなことができるはずがない」
C 「本当にそうなのかな?どのようなやり方をすればでそうなるのだろう。
一度調べてみて、自分でも試してしてみよう」と考えて実際にやってみる。 Aを「盲信」、Bは単なる「批判」、Cを「素直」といいます。 今までの価値観や常識が大きく変化している現在、自分のこれまでの経験だけで判断していたのでは、どんどん時代に取り残されてしまいます。違う価値観を一度受け入れる「素直」をぜひ身につけてください。
(3)プラス発想 =過去オール善・他者オール肯定、あらゆるものに感謝し、
前向きに考える心
経営者には、常に前向きなゼロベース思考が欠かせません。
会社で何か問題が発生したときに、社員とともに悩み考えるだけでは、経営者とはいえないのです。
難しい時代だからこそ、出来る事はすべてやりつつ、前向きに考えポジティブにプラス発想する姿勢が必要です。
ジョゼフ・マーフィー(心理学者・哲学者)は「思うことは実現する。だからよいことを思う」と述べています。
この理論は、心の中の潜在意識が持つパワーを上手に活用しようというものであり、その有効性は昨今、特に注目されています。「自分はそんなに能天気ではない」「今抱えている問題はそんなに簡単なものではない」と感じる人もいるかもしれません。
それは、その人がよく勉強をしており、頭がいいからなのかもしれません。
人間は基本的に、勉強すればするほど正しいことを知り、マイナス発想になっていくと言います。
しかし、深刻に悩むぐらいならば、プラス発想で面白くやったほうがいいのです。
頭の中で「こだわらない」「好きになる」「ありがとう」といった感謝、肯定の言葉をイメージしてみてください。
それだけで気持ちは楽になりますし、思いは叶うといいます。
ところで、プラス発想には「根拠のあるプラス発想」と「根拠のないプラス発想」の2つがあります。
前者は現状を正しく認識し、できるだけ実現可能な大きな夢を持ち、目標達成に対して120%の原因づくりを行うことをいいます。つまり目標達成までにマイナス発想で周到に準備をし、それからプラス発想をしているのです。
一方後者はマイナス発想での周到や準備が抜けており、筋道が通らず、でたらめにできもしない大きな目標を掲げることをいいます。
ぜひ、準備を十分に行った根拠のあるプラス発想を心がけるようにしましょう。
3.天地自然の理
(1)天地自然の理に従う
船井流経営法と実践すると、なぜ業績を伸ばすことができるのでしょうか? それは「天地自然の理に合っているからだ」と、船井幸雄は著書の中で述べています。
世の中には、世の中をつくり、動かしている大きな原理・原則あります。 この原理・原則こそが、天地自然の理であることを私たちは知っています。 きっと、この世の中は実は単純な原理・原則によって出来上がり、運営されているのでしょう。
しかし、私たちは、その天地自然の理のほんの一端しか知りません。
だからこそ、船井流を積極的に学んでいただきたいのです。 なぜなら、船井流は天地自然の理をルール化という手段で体系化したものだからです。
この原理原則に合ったことを実践すれば、「ツキ」がついてきて業績を上げることができます。 しかし、それに反することをすれば、「ツキ」は逃げ、売上も利益も下がっていってしまいます。
以下に天地自然の理から見た経営の4つのチェックポイントをまとめてあります。
天地自然の理から見た経営のチェックポイント
1) 「現在ツイているか」
→ツキの悪いときの意思決定はしにくい
2) 「この仕事は世のため人のため、そして自分のためになっているか」
→この考えがないと、人間は本質的に明るく生きていけない。 また、企業は経営体としての社会性が薄れてしまう。したがって、「大義名分」が必要である
3) 「採算が合うか」
→企業経営では、採算が合わないことはやるべきではない。 採算割れして他に依存してまで経営することは、自助を建前とする天地自然の理に反してしまう
4) 「この仕事に競争はあるか、あるいはあり得るか」
→適正競争は必要である。 無競争は、ツキを落とすケースが多く、自由と能力に応じた公平さがなくなるという意味でも、天地自然の理に反する。 ただし、決してエゴのための競争ではない
(2)ツキの原理
まずはツイている状態にすること
天地自然の理に従うと「ツク」し、反すると「ツキ」がなくなるということが、「ツキの原理」に基づいた船井流経営法の基本です。
前述した成功・成長の3条件を身につけていると業績アップは70%保証されますが、これに「ツキ」の原理を加えて考えると、成功率はさらに25%伸びて95%になると、船井幸雄は書著で述べています。 経営者の中には業績を落としている人(ツキから見放された状態の人)もいらっしゃいます。
そういったときは、まずその会社にツク状態になってもらわなければなりません。業績アップを実現するためには、それがすべてにおいて優先されます。 なぜなら、業績がよいとき、あるいはツイているときの方向づけや意思決定はすべて正しく・うまく行きますが、反対に業績の悪いとき、あるいはツイていないときに考えることや意思決定することは間違うケースが多いからです。
小売店でいえば、今の店で、今のスタッフで、今の商品で、とりあえず前年対比110~120%ぐらいに売上も利益も伸ばすことです。それが5ヶ月以上続いて初めて、ツイた状態になったといえます。将来のことを考えて意思決定をするのはそれからです。 このように、まずは業績を向上させて調子に乗せ、自信をつけることです。そこに「ツキの原理」のポイントがあります。
ツクためにはまず、ツイている人や物、会社などと付き合う必要があるといいます。 なぜならば、ツイているものと付き合うと、ほぼ間違いなく自分もツクようになっていくからです。
「類は友を呼ぶ」という言葉や「朱に交われば赤くなる」ということわざもありますが、 まずは「ツイているものと付き合うと、ツクようになる」ということがツキの原理の1つだということを理解してください。
ツク人になろう
繰り返し述べているように、自社業績を上げるためには、社員に「ツク」状態になってもらうことが、経営者としての重要な役割です。 そのためには、経営者自身が「ツキの原理」を知り、自らこれを実行し、ツクようにならなくてはなりません。 さらに、「ツク」ものをつくり、「ツキの管理」もしていかなければなりません。 また、ツクようになるためには、結局は、自分の心を養っていく必要があります。
心を養い、「ツク」人間に自分自身を変えていきましょう。言行一致していない経営者は、社員からの信頼を得ることは難しいからです。
一般的に「ツク人」というのは、次のようなタイプの人間をいいます。
1) ものごとをよいほうに考え、よいこと、あるいはよくなることを想像し、発想でき、絶えず「自分はついている」と思える「プラスは発想型人間」
2) どんなことでも素直に受け入れられ、過去の経験や知識だけで物事を決め付けたり、否定したりしない「すなお肯定人間」
3) 新しい道の分野に挑戦し、それを知ることが好きな「勉強好き・挑戦好き・やる気人間」
4) 謙虚で、誰に対してもいばらず、差別意識のない、いつも笑顔の「謙虚な笑顔人間」
5) 他人の短所に目が行かないかわりに、長所がすぐ目に入り、しかも他人や自分の長所を伸ばすことに全力をつくす「長所伸展型人間」
6) 他人に任せるべきことは任せるが、責任は自分で負い、自己犠牲的で、他をアテにせず、自分を建前とする「自助型人間」
7) 耐えることを苦にせず、喜んで苦労し、しかも目標を定めたら、達成するまでくじけず、執念を持ってことに当たる「辛抱・執念型人間」
8) 常にマクロな、バランスのある判断ができ、感情が安定して自己制御心が強く、着実な実行力に秀でた「着実・バランス安定人間」
9) 20代末までは強気で生き、30代~40代前半にかけては強気に負けん気をミックスして生き、40代後半以降は、強気、負けん気に、思いやりも加わって生きるタイプの「強気・負けん気・思いやり人間」
10) 統制や管理が大嫌いで自由を好むが、約束したことや秩序維持のために必要だと判断されることは必ず守る、「高教養型の秩序維持型自由人」 ツク人というのは、おおむね上記のような特性を有しているものですが、こういった特性は、心の持ち方によって、あるいは心を養うことによって、自分のものとなっていきます。
できるだけツカない人の特性を捨て、ツク人の特性を獲得するよう心がけてください。 そうすることが、そのまま自然の理に」従う生き方だと、船井幸雄はいいます。
3 即時業績向上法
船井総研の他社にはない強みとして、即時業績向上法を持っていることが挙げられるでしょう。 これは「ツキ」の原理を応用して作られた理論です。+ 即時とは約6ヶ月を指し、6ヶ月以内に業績を上げることができるという非常に便利なノウハウです。
1.長所伸展法
1)内部のツイているもの探し
ツクためには、ツイているものと付き合えばよい、ということになると、すぐ短絡的に、まず外部のツイている人や物と付き合うことを考えてしまいます。 しかし、自分に「ツキ」がない場合、ツイている外部の人や物とは、同類でなたいため付き合いにくいし、相手も、「ツキ」のない人とはなかなか付き合ってくれません。
ツイているものと付き合いたいと思った場合、最も問題になるのはその点です。
このような状況のときには、まずは自分の中にある「ツイているもの」と付き合うことにするのがベストです。 たとえば、自社でも、全体的に業績が悪いときでも、部門単位、一営業所、一品単位であれば、 業績が伸びているところは必ずあるものです。
そういうところを見つけて、そこに力をいれていくと、「ツク」状態になり、全体がプラスの方向に進んでいきます。
2)ツイているものを伸ばす
ツイているものを伸ばす。これが、即時業績向上法の最も重要なポイントです。 よって自社で一番にすべきことは、自社のツイているところを発見することなのです。
ではツキあるところは、一体どのような部分でしょうか? それは、
1)伸びているものは何か?
2)自信のあるものは何か?
3)効率のよいものは何か?
4)1番は何か? という4つの視点から見ると発見できるでしょう。
1)伸びているものを伸ばす
自社の事業、部門、カテゴリー、プライス、単品などで、伸びているものを見つけ、それに力を入れるという考え方です。 つまり、その企業の中だけでの絶対軸でツイているものを探すのです。
伸張率がよいものをさらに伸ばしていくという手法は、現場では最もよく利用します。 そのため、自社で数字を見たときは伸びているものがないかを探すクセをつけておきたいものです。
2)自信のあるものを伸ばす
担当者の自信があるものを伸ばすことも大切です。 この数値や情報の信憑性が問われますが、どちらかというと自信がないものは、 伸ばそうと思っていてもなかなか伸びるものではありません。 もともと「ダメだ」と思ったものは本当に「ダメ」になってしまうのが「ツキ」の原理だからです。
自信は経験から生まれることが多いのですが、いくら経験があっても、負けてばかりいたのでは自信につながりません。 その意味では競争に勝ってきたという誇りと、その裏づけとなる強さこそが、自信を生み出していきます。
そこで経営者として、社員が根拠のある理由・実績をもって自信があるといっているかどうかを現場ではチェックするようにする必要があるでしょう。 また、社員が自信を失ってしまったときには、言葉をかけて自信を取り戻すということも、業績アップのためには必要なサポートになります。
3)効率のよいものを伸ばす
坪当り売上、1人当り粗利額、利益率が高い商品など効率がよいものを伸ばしていくという考え方です。 これは、「伸びているものを伸ばす」という絶対軸での比較ではなく、他との比較をする相対軸での分析になります。 小売業でいえば、
1)坪効率のよいものを伸ばす、
2)在庫効率のよいものを伸ばす、
3)利益率がよいものを伸ばす
といったような、販売効率がよいものをさらに伸ばした方が、業績にはよい結果を及ぼします。
4)一番を伸ばす
他と比較して、自社・自店が強い一番のものをさらに伸ばしていくという考え方です。 これも「効率のよいものを伸ばす」と同じように、他との比較をした相対軸での分析です。 この「一番を探す(一番化法)」ことはマーケティングの要諦になりますので、詳しく説明します。
2.力相応一番化
マーケティングというのは、一番になれる商品と商圏、客層を持つことを基本としています
したがって、力があれば、一番商品をより多く持つこと、より大きな商圏でより多くの客を対象とした商売を展開することが、競争で勝つためのベストの方法ということになります。そのため、まずは1つでも一番のもの、もしくは他に絶対に負けない独自固有の長所をつくり上げることが不可欠です。競争が激しくなったとしても、一番商品・サービスを持てば、たとえ時流不適応であっても、それだけで業績を伸ばすことが可能になります。
いろいろな商品や機能を持ちながら、一番が1つもない店を「よろず屋」というのに対し、1番を1つでも持ち、それ以外の商品や機能もあわせ持つような店を「総合化店」といいます。この場合、もちろん、一番は1つよりも2つ、2つよりも3つと、数多くあればあるほど業績が上がります。
では、一番商品を持つためにはどうすればよいのでしょうか。
一番簡単な方法は、競合店を十分に調査し、その結果に対して機敏に対応できる体質づくりをすることです。 次に注意点として、前述した一番商品を持つこと、あるいは一番づくりで忘れてはならないことについて述べましょう。
第一に、わかりやすいもので一番にならなければ、ほとんど効果がないということです。たとえば、魚や肉で一番とか、紳士服の品揃えで一番というように、わかりやすいことが絶対に必要です。 第二に、ロットでならないものでは、一番になってもあまり意味がないということです。
はっきりわかるもの、数または量でこなせるもので一番になるよう心がけてください。もちろん、突然「肉の売上日本一!」にはなれません。
そこで必要なのが、場所や機能を絞り込むことです。
これが、力相応一番主義という考え方です。
自店のシェア、売上、品揃えなどに応じて戦う場所と機能を決めていくわけです。そうなると、たとえば「豚肉の品揃えは市内一!」というようになることができるのです。 力相応一番化とは、力相応に一番化することです。 企業経営では、「力相応でなければならない」ということが基本となります。企業が力以上のことをするのは、よほど環境条件のよいときでなければ、きっと失敗をもたらすでしょう。 一方で、現在のように、様々な業界で企業の経営統合や再編が繰り返される競争激化時代においては、生き残るためには、できるだけ多くの一番を持ち、競争相手よりも強くなければなりません。 つまり、力相応で、かつ一番化できなければ、企業経営は継続できなくなってしまうということです。
お客様から、「こういうときはあの店!」といってもらえるように、自店の一番の商品・客層・商圏を決めてそれを徹底的に伸ばすことが重要です。
3.圧縮付加法
圧縮付加法とは、経営資本である「ヒト・モノ・カネ・情報」は圧縮せずに、入れ物、つまり売場スペースだけを圧縮する方法であり、一番商品、売れ筋の最も効果的な品揃え法です。
たとえば、前述の一番化手法を実際に支援先で行おうとしても、実際は資金繰りが厳しく、一番になるためのアイテムを仕入れることが難しいということがよくあります。 一方、圧縮付加法は一番をつくるための過渡期における手法です。
品揃えの数は減らさず、スタッフも減らさない。とりあえずこれまでの売り場スペースを圧縮することにより、商品密度の高い店をつくります。その結果、ボリューム感が生まれ、アイテム密度も高くなっていきます。 たとえば、100ヘイホーメートルの売り場を持つ店であれば、商品アイテムも販売員の数も、そっくりそのまま60ヘイホーメートルの売場に圧縮します。そうすると、商品密度は1.67倍になり、売上は20%くらい上がっていきます。
こうして成功して力をつけたら、次に圧縮したことによって生じたスペースを利用し、そこに新しい商品を付加していきます。 このように圧縮付加法は、成績が悪化し、「ツキ」が落ちてきたとき、再び「ツク状態」を取り戻すためにはとくに欠かせない、業績向上への特効薬になります。
4. 包み込みの法則
一番化のための最も正しい戦略が、包み込みの法則です。 昨今のように、同業種間での競争の激化や異業種からの参入が見られるようになると、競合社会において総合力で上回る強者が、それ以下の者と競争した場合、強者が絶対的優位であれば、相手を生かすも殺すも一番の意のままという状況ができあがります。
小売店を例にとってみましょう。
ある地域にA、Bという2つの店があったとします。 A,Bの力は同じ程度の品揃えを独自で行っていました。 そこに、Cという大きな力を持つ店が現れました。 Cが、AにあるものもBにあるものも、さらにはAにもBにもないものまでも品揃えしたとすると、勝負は戦う前から明らかでしょう。
包み込む範囲を、商品だけでなく、サービスや店舗の雰囲気までというように、幅を広げれば広げるほど、C店はベストに近づきます。
一方、弱者が生き延びる道は、一番店であるCの扱わない商品か、Cが見向きもしなくなった商品や、新しい商品を見つけ出して強化することです。つまり、強者の弱いところを見つけて部分的に包み込むことが、弱者が生き延びる方法となるのです。
以上は船井流経営法のほんの一部です。 詳しくは弊社関連書籍をご参考下さい。