会計事務所コンサルティンググループ 篠原 黎(しのはら れい)
皆さま、こんにちは!
会計グループ 人材開発チームの篠原です。
突然ですが、
「職員の業務負担が重くなり、疲弊してきている・・・」
「残業時間が多く、生産性が低い・・・」
「退職者が出てしまい、益々仕事が回らなくなっている・・・」
上記の課題は、顧問先が増加し、成長・拡大をしている会計事務所様から
よくお聞きすることで、「新規の顧問先は増加しているが、
現場が対応できていない」という状況です。
ちなみに、皆様の事務所では、職員がどのような業務をしており、
どれくらいの時間を掛けているのかを把握しておりますでしょうか?
実は、上記のお悩みを抱えている事務所の多くは
各職員の業務状況を正確に把握していない場合があります。では…どうするのか?
今回は上記3つの問題点を解決するための方法をお伝えいたします。
●解決策(1) 工数分析を行い”業務量”と”報酬”の関係性を見える化する
職員が業務過多に陥っている事務所に対してヒアリングをすると、
「年間顧問報酬は高いが、業務量が多く時間が非常に掛かっている」
といった状況を良くお聞きします。
ここで一度考えていただきたいのが、その企業に「工数(時間)を掛けた分の
対価(報酬)を得られているのか?といった点です。
実際お聞きすると、企業規模は拡大しており、工数(業務量)は
増えているのに報酬は変わらずに、負担ばかりが増えているということが多くあります。
こういった状況を改善するためにも、まずはそれぞれの業務の工数を把握し、
顧問先1社1社に対して工数(時間)の把握と適正な報酬なのかを分析する必要があります。
そして、もし採算に見合わない場合には、単価アップの提案、
もしその提案が受け入れられない場合には、
解約も視野に入れる必要も出てくるのではないでしょうか。
●解決策(2) 属人的な業務を見える化し、業務の標準化を行う
会計事務所は文鎮型の組織が非常に多いです。
文鎮型組織では、本来であればマネージャーの役割を果たすべきである、
キャリアの長いベテラン勢に仕事が集中してしまい、
若手には十分な仕事が割り振られていないことがよく起こっています。
事務所規模が拡大することにつれて、トップのマネジメントだけでは
十分に業務を回せなくなります。そうした事務所の場合、管理職を任命し、
チーム体制を構築していくことが必要です。
しかし、マネージャー・管理職がマネジメントを全うできていないことが
非常に多く見受けられます。
この要因として非常に多いのは、「自分でなければできない仕事だから、
他に任せることができない」というものです。いわゆる、業務の属人化に当たります。
しかし、その状況が恒常化してしまうと若手が育たない組織となってしまいます。
すると、若手が担当できる業務の幅が狭まり、事務所全体の生産性が落ちることとなります。
若手が担当できる業務の範囲を増やす、教育するといったことは、
事務所の生産性ないし成長に直結します。
とはいえ、すぐに若手に任せるというのも難しいものです。
プレーヤーからマネージャーへ、また若手の育成といった観点でも、
こうした文鎮型の組織体制は解消する必要があります。
また、それと同時に、誰がどれほど業務を抱えているか、
それらの業務のレベル感や部下に割り振られている業務を
把握することから始める必要があります。
●解決策(3) 職員には”目的・背景”を説明して業務を依頼する
モチベーションが低く、業務に対する意識が低い職員が
いらっしゃいませんか?そうした職員の方は、
いわゆる生産性の低い職員として位置付けられています。
しかし、そういった職員の方に話を聞いてみると、
「とりあえず割り振られた業務を行っており、何のためなのかがいまいち分からない」
「業務を行う時間がかかってしまい、自信が持てない」
「他の人がどういう風に仕事をしているのかあまり聞いたことが無い」
といった声をよくお聞きします。
つまり、仕事に対する背景や目的、また方法が十分に共有されていないということです。
実は、こうした事例は非常に多くあり、
個々の能力の問題以外で改善できる点を放置している場合が多いのです。
業務の進め方や個々人の状況を把握しきれていない、
効率化できる部分を放置していると言っても良いでしょう。
そのため、モチベーションの低い社員を放置するのではなく、
「何のための業務なのか?」といった目的・背景を説明した上で、
業務を依頼するということを始めることをオススメいたします。
以上、大きく分けて3点お伝えいたしました。
これら3点の共通事項は、「業務”量”の把握と業務”プロセス”の見える化」です。
業務の実態やその工程、掛けている労力が見えなければ、採算の合わない業務を
「捨てる」こともできません。
また、マネージャー・管理職が抱える業務の分業化を進めるためにも、
案件数やレベル感を把握しなければなりません。
さらに、業務の効率化を図るためには、効率的に業務を行っている
職員の方法を見える化し、他の職員に共有する必要がございます。
今回ご紹介した課題3点、どれか一つでも当てはまるといった方は、
今一度「業務”量”の把握と業務”プロセス”の見える化」に
取り組んでみてはいかがでしょうか。
その取り組みの過程で、浮かび上がらなかった課題や、
改善策が見つかるかもしれません。
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篠原 黎(しのはら れい)