2016年05月09日

CI革命で単価UP・解約率DOWNの極意

会計事務所コンサルタント 竹内 実門(たけうち みかど)

本日は、会計事務所の顧客管理・顧客情報の活用についてお話させていただきます。

ここ数年、申し上げていることですが、「人口減・企業数減・マーケット減」
という状況下において、経営における重要なテーマは
「既存客の離脱防止」と「従業員の離脱防止」です。

「既存客の離脱防止」という側面から考えると、会計事務所の経営のテーマは「顧客緊密性の強化」が必須です。

その視点から、改めて会計事務所の課題を整理すると、
1つ目の課題は顧問先の減少があげられます。


原因としては「倒産や廃業」、
「他の税理士への変更」
の二つです。さらに「倒産や廃業」には、
キャッシュフローの見込みの甘さによるものと後継ぎがいないことに分解することができます。

これらは、皆さんの周りで高頻度で起こっているとは思いますが、きづかないうちに、少しづつ起こってきていることもあるのです。

「他の税理士への変更」では、品質的な間違いが予想以上にあります。単純な計算間違いというレベルではなく、
設備投資減税を使わなかったために数百万円の損失を出したことによって税理士変更になってしまったという例が代表的なものです。

これに関しては事務所から言わなければわからなかったことですが、
どこかでお客さんが気ついてしまったらアウトということになってしまいます。

皆様の立場から見れば解釈の違いということでも、お客さんから見れば「どうして?」となってしまうので非常に注意です。

この品質的な間違いよりも本質的に問題があるのが、「対応プロセスに不備があるということ」です。

実はこの問題は潜在的には非常に多くあると考えています。お客さんへの返答が遅れたり、同じことを何度も言ってしまうことです。
他には情報提供の不足です。具体的に言うと、他の人から情報を聞いてしまうということです。
先生がお客さんに言ったつもりでも伝わっていなければ不満を持ちますし、助成金・補助金情報やマイナンバー情報、
IT化などの経営に必要な情報を提供していなければ、こちらもお客さんは不満を持ってしまいます。

たとえ会計事務所の管轄ではないとしても、お金にかかわることなら全て知っているとお客さんは考えているので、
管轄外のケアもしっかりしていかなければならないのです。

 2つ目の課題は顧問報酬ダウンです。
よくある話が、業績が悪いので顧問料を下げてほしいという
お願いをされてしまうというものです。本質的に問題なのが次です、
「サービスのマンネリ化」です。

クラウド会計の話でもありましたが、さまざまなところで効率化が
進んできているのにもかかわらず、
提供サービスが同じであったらお客さんは値下げ交渉をしてきます。

 3つ目の課題は新規顧客の獲得が困難になってきているということです。
特に紹介が減ってきている状況にあるのですが、
一方で紹介での集客をしっかり伸ばしている事務所もあり、
そういう事務所は紹介をしてくれるキーマンへの対応を非常に厚く行っています。
紹介をしてくれるかはどれだけ時間を割いてVIP待遇ができるかによって変わってきます。
研究会で皆様勉強されているとは思いますが、集客力もの弱さも新規顧客獲得にはマイナスです。
見込み客を作っていなかったり、ターゲット選定が甘い部分が原因です。

 これまではマーケティングのお話をさせていただきましたが、
ここからはオペレーションのお話に入ります。
業務プロセスを全て一人でやっていると、一人で処理できる限界はどうしても速く来てしまいます。
とはいいながらも毎月やっていたことが2・3ヶ月に一回になったり、
お客さんに現金出納帳を付けてもらったりしても、
事務所側のやり方がまったく変わらないのなら意味がありません。

そうならないためにも、
その業務にその人がどれくらいコミットしているのかを数字で把握している必要があるのです。
つまり言うと、活動に対する原価管理を始めなければならないのです。

このような課題の解決方法をまとめて言うと「顧客緊密性の強化」につながっていきます。
具体的に何を指すかというと、

一つ目は顧客情報を正しく把握すること、
二つ目はその情報を活用するということです。


実際、これをしっかりやれている会計事務所は我々の研究会の中でも非常に少ないです。

情報は把握で大事なのは、不足している顧客情報の取得、提案を行ったか否かの確認、
顧問先ごとの提案検討会の実施が重要だと考えています。

例えば、税制改正の情報を全顧問先に伝達したかどうかを皆さんは全て把握されていますでしょうか?
大切なのは、情報を伝えて、お客さんが認識したかをこちらが把握しておくことです。

言ったか言わなかったかの話になってしまうと、それは言っていないということとほぼ同じになってしまいます。

もう一つはお客さんの情報を我々がどれだけ持っているかということも大事です。

皆さんを介して入っている生命保険以外の情報(例えば全額損金の逓増定期の解約返戻金のピークの時期など)
をおさえているでしょうか?

つまり、何が大切な情報かを定義して、埋めていくというプロセスが必要になります。

顧客緊密性を高めるということは、お客さんの情報を自分たちが把握し、
それに対して提案するということになります。それがCI(カスタマーインテマシー)革命の基本なのです。

顧客情報に関しては、お客さんと何をいつ話したかまでとっていけるとさらに良いと思います。
方法としては、セールスフォースというシステムを導入することが一つです。

我々のほうで会計事務所向けにカスタマイズして作成してクラウド上で顧客管理ができるようになりました。

管理できるものは、会社名・業種・年間売り上げ・所在地などの基本データを始め、
会社における重要人物・この会社とのスケジュール・履歴・会合の際に何を話したかになります。

今、とにかく皆さんにお願いしたいのは「自分の事務所の顧客緊密性は本当に大丈夫か?」
ということを考えていただきたいということです。

システムも含めて管理体制の見直しをぜひとも進めていただきたく思います。
また、セールスフォースを活用した顧客管理システムに興味のある方は、お問合せいただければと思います。

(連絡先:mikado@funaisoken.co.jp 担当:竹内)





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