2019年05月07日

業務の見える化を効率的に実施するためには?

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の来田と申します。
 
最近、「顧問先数も順調に増えて、売上は上がってきたけれども、
結局、残業や休日出勤でその分の業務に対応しており、
一人当たりの時間当たり生産性(報酬)は上がっていない、
場合によってはむしろ下がってしまっている」という事務所様の声をよく耳にします。
 
実際に先日弊社の研究会会員の皆様にアンケートを取らせていただいたところ、
業務効率に課題を感じている事務所様が全体の25%以上いらっしゃいました。
 
売上を上げていくことももちろん重要ですが、一方で業務効率の改善を意識し、
収益性を高めていかなければ、いつまで経っても人材や設備への十分な投資、
新しい取り組みができる状態にはなりません。
 
収益性の高い事務所作りを進めるにあたって、必要な STEP は下記の通りです。
 
STEP1:業務の見える化(業務管理)
STEP2:業務効率化
STEP3:生産性向上(売上・付加価値アップ)

 
重要なポイントは、何をどの程度見える化するのかを決めずに(STEP1 を飛ばし)、
いきなり STEP2 以降の業務効率化・生産性向上を進めないことです。
 
なぜならば、業務が見えている状態ではないと、どの業務を効率化すべきか、
どのようにして生産性向上をすべきか、打ち手が見えにくいからです。
 
さらに、予め管理すべき業務の対象や工程が決められていないと、
業務管理そのものができる状態になるまで多大なる時間を費やし、
結局やり切れないといった失敗に陥いるためです。
 
そこで、そのような失敗パターンに陥らないために重要なのが、ズバリ「現状把握」です。
 
「現状把握」を一言でいうと、「業務の見える化をより効率的に進めるための前準備」です。
「現状把握」をすることでボリュームになっている業務や課題が分かり、
優先して見える化すべき業務と工程を決めることができます。
 
その結果、2 点のメリットがあります。
 
1 点目は、見える化する業務の対象と工程を明確にすることで、
見える化の取り組みそのものにかかる労力やコストを削減できます。
 
2 点目は、見える化する業務の対象は全業務の中でも
業務量のウェイトが高いことを前提としますので、効率化した時の効果が高いです。
 
では実際に「現状把握」を実施し、
収益性の高い事務所作りに取り組んでいる事務所様の実践事例をご紹介いたします。
 
「現状把握」の実践手法は職員ヒアリングとワークサンプリングです。
1. (定性)職員ヒアリング
現在の事務所の働き方や残業、業務過多の発生状況、
より良い事務所作りをするために必要なこと等をヒアリングし、
ワークスタイルに関する定性面の課題を抽出します。
 
2. (定量)職員ヒアリング=業務実態把握
現在の事務所にはどのような業務があり、
中でもどの業務がボリュームとなっているのかをヒアリングし、
どの業務、どの工程にどれくらいの時間を費やしているかを明確にし、定量面の課題を抽出します。
 
3. ワークサンプリング
各職員がどの業務にどれくらいの時間を費やしているかをヒアリングし、
洗い出すことで、各職員の時間の使い方や階層別の稼働状況の傾向を把握します。
 
以上の職員ヒアリングやワークサンプリングを通じて、
定性的な事務所の課題や、ボリュームの多い業務を定量的に把握し、
スムーズに業務の見える化(業務管理)に取り組むことができます。
 
結果として、業務の見える化そのものの労力やコストを抑え、
その先の業務効率化・生産性向上においてより高い効果を得ることができます。
 
収益性に悩む事務所様は、まずは「現状把握」より取り組んでいただくべきです。
 
なお、2019 年度の船井会計事務所経営研究会では、
「成長分野づくり」「業務管理」「業務効率化」「デジタル・RPA 活用」「生産性向上」等、
会計事務所の収益性向上を目的としたテーマを設定しています。
 
当研究会にご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
研究会の詳細はコチラ:
https://zeirishi-samurai271.funaisoken.co.jp/e00/0023

【この記事を書いたコンサルタント】

来田 卓哉(きた たくや)

新卒で船井総合研究所に入社。入社以来、住宅・不動産業界、士業事務所の業績アップに従事。 現在は、会計・税理士事務所向けに経理コンサル事業を中心とした会計事務所の業績アップ支援に従事。 近年の実績としては「経理コンサル事業単体で売上6,000万円を実現」「経理コンサル事業の継続的な二桁成長の実現」等がある。

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