2018年02月02日

社員の戦力化について考える

こんにちは!船井総合研究所の稲冨です。
今回のテーマは「戦力化」です。
 
昨今税理士業界では、人材不足も相まって採用・定着について
注力をしている事務所が非常に増えてきました。
ただ、多くの事務所様が「社員の戦力化」に苦戦しているではないかと思います。
そこで今回は社員の戦力化のポイントについてお伝えいたします。
 
【「戦力化」の定義をする】
前提として「戦力化」の定義を決める必要があるのではないでしょうか。
「1人前」という不明瞭なものではなく、
人事評価制度などで定義をしていることが多いかもしれませんが、
まずはその定義を決め、新入社員でも理解できる必要があると思います。
 

<戦力化」の定義の一例としては、※巡回監査型モデルの場合>

 
①保有売上高:売上0~500万円 ※ビジネスモデルによっては0~800万円
②担当件数:0~15件
③会計全般:当社システムの種類を把握して、各システムで入力ができる。
④税務顧問:巡回監査・月次報告の補助ができる。
⑤法人税:必要な資料を収集することができる。
 売上5,000万円程度の申告書が作成できる。”
⑥所得税:申告書に必要な資料等を収集することができる。
 簡易な確定申告書が作成できる。”
⑦相続税:申告書に必要な資料等を収集することができる。
⑧設立開業支援:開業届などの作成が単独でできる。
⑨年末調整:一般的な年末調整業務を行うことができる。
⑩経営支援業務:資金繰り・経営計画・事業承継などの経営支援業務の補助ができる。
⑪PCスキル:WordやEXCELを使って文章作成や表計算を行える。
 
と定義しています。
まずは事務所として戦力化の定義(到達目標)をしなければ
新入社員が到達すべき目標が分からないと思いますので、
まずは定義付けをすることから始めていただければと思います。
 
【戦力化までの人材育成は人材育成プログラムを作り完全個別対応が基本である】
 
よく私は戦力化や育成・教育のお話をするときに
「研修を受講させることが目的になっていませんか?」と質問をしています。
研修に参加することが悪いわけではありませんが、
研修に出すこと自体が目的になっているケースが非常に多く見受けられるからです。
目的・目標がない研修はただの「受けさせられている」研修になってしまい、吸収力が悪くなるため注意が必要です。
 
そこで、今後の育成のポイントは「脱研修参加目的化」で「完全個別対応」の人材育成法です。
完全個別対応とは、新入社員ごとに、入社後すぐに人材育成プログラムを立案し、
個別面談を通じて1年後の到達目標を設定した上で、業務・研修を行っていくというものです。
未経験者は、経歴も当然様々なので、個々人に合った育成をしていかなければ即戦力化もできません。
 
人材育成プログラムは、
<1週間以内・1ヶ月以内・3ヶ月以内・6ヶ月以内・9ヶ月以内・12ヶ月以内>
のそれぞれで到達目標を設定し、その到達目標を達成するための、
 
①各行動項目を設定する
②いつまでに完了するのか?
③誰に学ぶのか?
④何を学ぶ目的なのか?
 
を一つずつ設定していきます。
採用後の1年目は個々人の経験に応じて人材育成プログラムを設定していく必要がございます。
また、人材育成プログラムを構築することで、研修に参加させるだけの育成ではなく、
目標があった上での研修参加となるため、吸収力が変わりますので、ぜひおすすめいたします。
 
いかがでしたでしょうか?
採用後の戦力化はこの人材難の時代だからこそ、重要な位置付けになってくると思います。
ぜひ戦力化の定義付けを自社で行い、個々人ごとに完全個別対応で人材育成プログラムを設定し、
戦力化をしていくことをおすすめいたします。
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)

役職:チームリーダー 幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。 大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。 在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。 その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。 船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。

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