事務所運営において所長が担うべき役割は多岐に渡りますが、
業務のバランスを適正に保つことは決して簡単ではありません。
特に、小規模の事務所の場合には、所長が自ら現場に出て、
業務を行っているケースが多く見受けられますが、
忙しいばかりで経営活動に割く時間を十分に確保できていない方が大半ではないでしょうか。
所長が意識すべきことの一つは、
「営業」「実務」「経営」にどれだけの時間と労力を割いているか、
自ら把握をし、そのバランスを調整することです。
営業:自らが動いて仕事を取る(相談者との面談、セミナー・講演活動、企業への提案など)
実務:取ってきた案件を処理する(書面作成、依頼者との面談・連絡、相手との交渉など)
経営:円滑な事務所運営をする(経営数値の把握・改善、人事制度の整備、新規領域への投資など)
最も多く見られるパターンは、所長の実務に割く比率が高くなりすぎて、
営業や経営に十分に取り組めていないというケースです。
元々はプレイヤーとして活躍されていた方ほど、職人気質が抜けきらず、
案件実務を優先してしまいがちなのですが、
所員が辞めずに育つ組織や、スピーディーに成長を遂げている組織を見てみると、
実務比率を下げながら、営業や経営に割く割合を高めている場合が多いです。
業務バランスを変化させていくために、
「幹部社員の育成」がとても重要な経営課題となります。
幹部社員とは、組織の中心となって、事務所運営に必要な役割を、
一般社員とは異なる立場で担う社員のことです。
所長がこれまで担ってきた役割の一部を共有する、
任せることができるようになると、
営業や経営に割く時間を大幅に増やしていけるようになります。
経営幹部となる所員を育成するために、
まずはチームや部門の目標設定・管理を任せていくのが良いでしょう。
これまでは個人で実績を上げていれば良かった場合でも、
チームで実績を上げることに挑戦をしてもらうことで、
より大きな影響を事務所に残してもらえるようになります。
(当然ですが、役割を新たに増やす場合には、評価や報酬の問題にも配慮する必要があります。)
小規模の事務所が、中堅規模の事務所に成長していくためには、
所長の業務比率の見直しを図ることが極めて重要です。
それを実現するためにも、幹部社員の育成に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
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2019年02月14日