2023年04月05日

緊急提言!PL数値を悪化させない取り組みを考える

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の小川原です。

普段は土地家屋調査士事務所の生産性向上コンサルティングを行っています。

本日は『緊急提言!PL数値を悪化させない取り組みを考える』と題しまして、
士業事務所の1時間当たり生産性について考えていきたいと思います。

なぜ、いま1時間当たりの生産性にこだわるのか?

1時間当たりの生産性とは、粗利÷総労働時間で算出される経営数値のひとつです。
士業だけではなく全企業の平均が3000円と言われています。
士業事務所の場合の平均値は、業種によっても違いはありますが、おおよそ4000円前後かと思います。
士業事務所の場合、仕入れがないこともあり比較的高い傾向にあります。
ちなみに私が専門にしている土地家屋調査士事務所では4500円が業界平均です。

この1時間当たりの生産性を上げるのは粗利(売上)を上げる、もしくは労働時間を下げるのどちらかになります。
売上を上げるアプローチはわかりやすく、WEBマーケティングを実施したり、セミナー集客をしたりしてお客様を増やす取り組みや、kintoneやZOHOなどのデジタルツールを活用し、顧客単価を向上する取り組みが一般的です。
このあたりは弊社のコンサルタントからも再三お伝えいただいている部分であると思いますが
裏を返せば、このような取り組みをしている事務所様が増えてきていることから、市場競争は激しくなっています。
広告費が高騰したり、店舗数や資格者数といった要素で勝負をされては太刀打ちができません。
つまり、今まで以上に売上を上げていくことが困難になっている時代になっているといわざるを得ません。

ではどのようにして1時間あたりの生産性を高めていくか。
そこで重要になるが「労働時間の削減」です。

労働時間を削減できればPL数値は改善する!

仕事量が減ってきている(減りつつある)状況において、今までと同じ働き方、時間のかけ方をしていては当然ながら利益率は減少の一途を辿ります。

「今はいい」かもしれませんが、高齢化がいよいよ加速する2025年、2030年には仕事量も確実に減り、事務所経営にとっては深刻な問題に直面します。
だからこそいま「労働時間の削減」を実現する必要があるのです。

同じ売上でも労働時間が5%でも、10%でも削減できれば、事務所のPL数値は改善されていきます。言葉を変えれば、労働時間を削減するだけで利益率が改善されるということになります。

では、なぜ労働時間が削減できないのか。
それはズバリ「属人的であること」が大きな要因です。

士業事務所であるため属人的になるのは仕方ない側面もありますが、改善できる余地も多くあります。属人的にならないために取り組んでいただきたいことをお伝えします。

①その人(代表や資格者)しかわからない業務がある
多くの士業事務所では起こりうる、もしくは起こっていることだと思います。
資格業ですので、ある程度は仕方ない部分もありますが、業務以外のお客様情報や案件の詳細などは共有できていますでしょうか?
案件ごとの納期や注意事項など共有できていればいいですが、できていない場合は、確認する時間や外出している場合、その人が戻ってくるまでの時間が無駄になります。たった30分でも積み重なれば大きな時間になりため、労働時間を削減する弊害になりうるのです。

対策としては、kintoneやZOHOなどのデジタルツールを導入し共有することでもいいですし、チャットワークやLINEworksなどで気軽に共有をする形でもいいですし、アナログですが、朝礼や夕礼、日報などで共有するのもいいと思います。

つまり、その人しかわからない状況を仕組みで解決することが重要です。

②人によって業務のやり方が異なる
中途入社が多い士業事務所では「前職のやり方が・・・」「前の事務所ではこうだったので・・・」というお声をよく聞きます。
5名未満の少人数であればそこまで多くの問題ではありませんが、5名以上の事務所様ですと、そのような独自のやり方があればあるほど労働時間は増えていきます。

例えばサポートしてくれる事務スタッフのXさんがいたとします。その方は書類作成を請け負っていますが、担当のAさんは仕事を受けてから作成してほしいといわれますが、担当のBさんには仕事を受ける前段階で準備してほしいといわれたとします。
当然ながらXさんは案件ごとにやり方を変えるので、効率は落ちます。

更に書類作成の方法がが違った場合、間違えが起こりやすく、その間違えを修正する時間も必要になってきます。
書類作成ならまだしも、申請に必要な書類であれば、ミスに気づけず、そのまま申請し、後日補正やクレーム対応に時間を要する、ことも考えられるわけです。

つまり、業務のやり方が違う、ということが大きなトラブルのもとになり、結果的に労働時間が伸びる要因につながってくるのです。

いかがでしたでしょうか。
売上を上げることは意識的に進めてらっしゃる先生方も多いと思いますが、先々を見据えて労働時間を削減するにはどうするべきか?1時間当たりの生産性を高めるためにはどうするべきか?を考えてみていただけると幸いです。

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