2021年07月26日

顧問契約の成否を決める「サービスの違い」

こんにちは。
法律事務所の企業法務コンサルティング部門責任者の吉冨国彦です。

本コラムの目次
1.企業法務に取り組む法律事務所が増加
2.もうプロモーション戦略だけでは顧問は増やせない?
3.「価値=サービス=価格」であり、契約と維持に繋がる
4.企業法務マーケティング新規参入セミナーのご案内

1.企業法務に取り組む法律事務所が増加

『「顧問契約」を成功に導くうえで重要な4つのポイント』の最終回となる今回は、「サービスの違い」が顧問契約と維持の成否を決める理由について解説させていただきたいと思います。
過去のコラムでもお伝えさせていただきましたが、近年、新しく事務所として取り組む分野として「企業法務」を選ぶ事務所が増加しており、船井総研が主催する研究会会員様のアンケート結果では2年連続で首位となっています。
理由は事務所により詳細は異なりますが、大きくは
①顧問契約料を増やすことによる安定収益(ストック型利益構築体制)の確保
②企業法務分野に取り組んでいることによるブランディング(採用活動でのPR)
です。

特に前者の安定収益を確保するうえで、企業法務分野マーケティングに取り組む法律事務所が増加しているのは明らかであり、地域によりますが、プロモーション戦略だけでは顧問契約は取りづらくなってきていると言えます。

2.もうプロモーション戦略だけでは顧問は増やせない?

2010年~2015年にかけては、多くの法律事務所の収益の柱として、過払い金を中心とした債務整理分野や交通事故分野がありました。企業法務については、顧問契約単価3万円~5万円程度と、短期的にみるとキャッシュが作り辛い領域でもあることや、リソース(人・時間)が必要な企業法務に取り組む必要性を感じていない先生方も多かったのではないかと思います。
時は流れ、近年では一般民事および家事案件について、弁護士数が2018年に40,000人を超える一方で案件数は減少傾向であり、案件の獲得競争が激化してきていると言えます。
今は弁護士の約半数が弁護士ドットコムを代表とするポータルサイトに登録し、マーケティング活動を行いながら案件の獲得を推進する方が一般化しています。
企業法務分野においては、民事・家事分野での売上確保が以前と比べると難度が上がっている一方、企業においてはコンプライアンス意識の向上等による予防法務の観点から顧問弁護士を採用するケースが増えるなど、企業法務マーケットは拡大していると言われています。
実際、一般民事と家事分野を中心に取り扱っていた法律事務所でも、人口10万人以下の商圏で、企業法務分野でのマーケティング活動を行ったところ、年間で40社近くの顧問契約を獲得する事例も出ました。
このように、企業法務分野に取り組む法律事務所も最近は増加傾向ですが、それに伴い、企業法務に特化したホームページを制作・運用したり、企業向けのセミナーを開催する法律事務所も増加傾向にあり、数年前ではそのような取り組み(プロモーション戦略)だけで経営者との接点が構築でき、顧問契約数を伸ばすことができましたが、近年では企業法務に特化したプロモーション戦略は数多くみられ、それだけでの顧問契約の獲得は困難になりつつあると言えます。

3.「価値=サービス=価格」であり、契約と維持に繋がる

このような背景においては、相談者・依頼者である経営者からすると弁護士(法律事務所)は比較購買できる状況であり、弁護士側からしても、他の弁護士との違いを明確に打ち出すことなく選ばれる可能性が高まることはありません。
日弁連の調査結果でもありましたが、企業の経営者のニーズとして、「弁護士がどのようなサービスをいくらで提供してくれるのかが分からない」といった声もあり、それに応えるようなサービスづくりが重要となります。
たとえば、労務問題のなかでも「問題社員対応」は業種や企業規模関わらず、多くの企業の課題でありニーズとなっていますが、これもいち早く「問題社員対応」に着目しサービス内容をつくり訴求している法律事務所はホームページから月額20万円の顧問契約を獲得することに成功しています(以下、参考掲載イメージ)。

なお、近時では風評被害ニーズも増えてきており、風評被害に特化したサービスや、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、小売業がEC事業に参入することによる広告審査や景表法対策ニーズも高まっており、それに特化した顧問サービスの開発と普及に成功している法律事務所もあります。
このように、顧問契約数を増やし維持をしていくうえでは、経営者との接点を構築するプロモーションの整備は必須としつつ、経営者に求められるサービスの策定を、行い差別化を図ることが必須と言えます。
過去のコラムでも取り上げた「営業的アプローチ」も実践していただき、顧問契約数を増やし事務所の安定経営を実現するとともに、経営者が経営に専念できる体制の構築を先生方と一緒に創っていきたいと思います。

4.企業法務マーケティング新規参入セミナーのご案内

船井総合研究所では、2005年より法律事務所向けのコンサルティングを実施しています。近年、特に企業法務分野でのコンサルティングに関するご依頼を数多く頂戴しております。当日は、これから企業法務分野に取り組み、顧問契約の獲得と維持を推進し、安定経営を実現するうえでの初動対応について1日で分かるセミナーを開催いたします。この機会を事務所の持続的な発展の参考にしてください。

■企業法務マーケティング参入セミナー(オンライン開催)
2021年9月25日(土)・10月1日(金)・10月9日(土)・10月16日(土)
【参加料金】
・一般価格 10,000円 (税込 11,000円)/ 一名様
・会員価格  8,000円 (税込 8,800円)/ 一名様
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https://www.funaisoken.co.jp/seminar/074767

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