2021年04月28日

「顧問契約」を成功に導くうえで重要な4つのポイント(「プロモーション戦略」編)

こんにちは。
法律事務所の企業法務コンサルティング部門責任者の吉冨国彦です。

経営者との接点を増やすうえでのプロモーション戦略

今回のコラムは「企業法務分野」に関して、プロモーションを実施したことがない、という先生方に向けた内容としています。
既にプロモーションを実施している先生方は次回の「営業」をテーマにしたコラムに進んでいただいて構いません。

前回のコラムでは、顧問契約を獲得するうえでの「対象とする企業の選定」をテーマとさせていただきました。対象とする企業や企業規模は違えど、実質的に経営者との接点を構築するプロモーション戦略は、大まかに言えば以下の3つに分類されます。

―顧問開拓における3つのプロモーション戦略―
1. 企業法務に特化したホームページの制作と運用
2. 企業向けの定期セミナー開催
3. 税理士・社労士など企業をクライアントとする他士業とのルート構築

なお、この3分類は企業法務分野に注力する法律事務所では大方実践されている手法になりますが、地域や弁護士の先生方の経験・実績あるいは趣向性によりテーマが異なります。
例えば、労働分野で経験実績のある先生であれば、労働分野に特化したホームページを運営し、企業向けのセミナーテーマも「問題社員対応」や「残業代請求対応」といった、やはり労働分野に特化したものになるケースが多くあります。
また、業種に問わずニーズのあるテーマとしては、「クレーム対応」や「景表法」といったテーマで実施するケースも増えてきています。

いずれにしても、プロモーションを整えること自体は企業法務分野に限らず、人脈や紹介などに頼らず、新規で反響を獲得するうえでは必須の取り組みになります。

特に、新型コロナウイルスの感染拡大以降は、対面での接点構築や関係の維持が困難であることから、以下のようにオンラインを組み合わせたプロモーション手法の確立が重要であり、「地域一番事務所3.0」を目指し、他の事務所では確立できていないインフラを構築することが重要となります。

プロモーションの差別化では顧問契約数は伸ばせない

ただし、前回のコラムでも記載させていただきましたが、ここ数年でも企業法務分野のマーケティングに取り組む法律事務所が増加したこともあり、先述のプロモーションを行うだけでは、経営者との接点を創出することは困難になっており、重要なことはそのプロモーション手法を「太らせることができるか」が重要になります。
言葉を変えると、

・ホームページは毎週1ページを目安に記事を更新し、地域で一番情報量の多いコンテンツにする
・企業向けセミナーはテーマを変えながら連続して開催し、経営者との常時接続を維持する
・税理士や社労士との勉強会を定期開催し、メルマガやニュースレターなどの配信で繋がりを強化する

など、他の事務所では追随できない情報量を付加し、太らせていくことが、同じく企業法務分野のプロモーション戦略に基づき反響数を増やすうえでは重要となります。
また、各プロモーション戦略においては、細部への拘りが反響率を改善するうえでも重要な施策となります。
たとえば・・・

■ホームページ
・1つの記事に対し文字数を3,000字程度の文量とし、特定のキーワードでは一番の情報量を誇るページにする
・各論で記事(ワード1枚程度)を書き、とにかく情報量(ページ数)の多いサイトにする
 例:問題社員対応の各論でページを作成する場合
  ・問題社員の定義
  ・問題社員を放置した場合の企業における負担、デメリット
  ・ローパフォーマー社員の対応方法
  ・休職復職を繰り返す社員の対応方法
  ・非違行為を行う社員の対応方法
  ・SNSに会社の悪口を書き込む社員の対応方法
  ・協調性のない社員の対応方法
  ・類型別問題社員と3つの解雇の種類(普通解雇・懲戒解雇・整理解雇)
  ・自社で退職勧奨を行ううえでの留意点
  ・不当解雇で訴えられた場合の初動対応
など、「問題社員対応」とひとまとめにして記事を執筆される先生方も散見されますが、ニーズは場面により異なるため、各論でページ数を増やしていただく方が反響に繋がる可能性も高まります。

■企業向け・士業向けセミナー
・テキストはデザインや視認性に拘り、配布するテキストが社内での研修資料になるクオリティで仕上げる
・オンラインで実施する場合は録画配信でなくライブ配信にし、質疑応答を受け付けるなど双方交換でのコミュニケーションを重視する
・Zoomなどで録画し、YouTubeに限定公開でアップし、顧問先に対しては無料で公開し満足度を高める
・アンケートはオンラインで配信する場合、Googleフォームを活用し、URLだけでなくQRコードをテキストに載せ共有し、回収率を高める工夫をする
・アンケート回収率を高めるため、無料開催の場合はテキストをアンケート回答者のみに事後送付する

など、さまざま工夫できることがあります。
プロモーションを展開される法律事務所も多いため、下限品質は維持したうえで、経営者や他士業の方に信頼してもらえるようにプロモーションを通じて実践していきたいところです。

次回は、経営者との接点を構築したあとに実施する「営業」について迫りたいと思います。

「経営者との接点は作れるが、そこから案件に繋がらない」
「スポット契約は取れるが、顧問契約に繋げることができない」
といった先生方は是非、ご覧ください。

【この記事を書いたコンサルタント】

チーフ経営コンサルタント 吉冨 国彦(よしとみ くにひこ)

船井総合研究所 入社後法律事務所コンサルティンググループに配属。 法律事務所の企業法務・顧問案件の獲得を専門領域として担当している。 顧問先の開拓に成功している数多くの法律事務所の事例を把握しており、 特にこれから企業法務分野を強化する予定の法律事務所におけるマーケティング戦略を得意としている。 商工会議所での講師依頼獲得実績や、士業事務所向け営業セミナーでの講演実績などがある。 前職では大手教育企業において、留学営業部で営業部長を務める。 約30名のメンバーを統括し、事業計画の策定や新商品開発・マーケティング戦略に従事。 グループの首都圏採用の面接官を努め人材採用から育成、定着に関する経験を持つ。

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