こんにちは。
法律事務所の企業法務コンサルティング部門責任者の吉冨国彦です。
本コラムの目次
1.経営者との接点を増やすうえで必要な「営業」という考え方
2.「営業」という言葉に誤解を抱いていませんか?
3.スポットでの相談を顧問契約で包括した支援をできる提案ができているか
4.ご参考情報
(ア)一般論として言われている営業のポイント
(イ)現在開催中の企業法務セミナー
1.経営者との接点を増やすうえで必要な「営業」という考え方
今回のコラムは「企業法務分野」に関して、顧問契約を締結するうえで「営業」が如何に重要かということをお伝えさせていただきます。
まず、日弁連の中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書 (調査結果編)によると、
ということで、経営者が「特に弁護士に相談すべき事項がないから」という理由で弁護士に相談せず、法的課題であることを弁護士以外の士業や専門家に相談していることが分かっています。
これは未だに「弁護士=訴訟・紛争の際に相談、依頼をする」という考え方が根深く、紛争の未然防止のために弁護士に相談をするという習慣や認識が広がっていないと言えます。
一方、企業規模が大きくなると経営者は弁護士に対し、「主体的な情報発信」を期待しており、弁護士側から訴訟や紛争に関する対応だけでなく、法改正や日常業務に影響を及ぼす判例が出た場合の対応方法の周知あるいは研修、書面の見直しなどを期待していることが同調査により分かっています(調査結果をもとに船井総合研究所が作図)。
2.「営業」という言葉に誤解を抱いていませんか?
「営業」という言葉を耳にすると、購買意欲の低い方に対して無理やり商品やサービスを売り込むといったネガティブなイメージを持つ方や、まして弁護士がそのような行動をとること自体に引け目を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、先ほどのデータにある通り、弁護士に相談や依頼をしたことがない経営者に対しては、弁護士がどのような法的課題の解決やそれ以外の局面でどのような貢献ができるかを伝える必要があります。
また、「営業」は「提案」という言葉にも置き換えることができます。
私はよく顧問業務を行っている先生方に対し、顧問サービスや料金プランを「説明でなく提案していますか」という風にお聞きしています。
「説明」と「提案」は、言葉は似ていますが、営業的な側面からすると、以下のように捉えることができます。
つまり、企業や経営者が抱えている課題に対し、弁護士が提供できるサービスを如何に活用してもらうことができるのかを提案し、法的課題の解決やそれ以外の局面でどのようなお役立ちができるかを周知するものと言えます。
これが法的課題を弁護士に相談、依頼していない経営者に対し、弁護士が貢献できることを知っていただき、依頼に繋げることができます。
更に重要なことは、経営者が気付いていない潜在的な法的課題まで見つけてあげて、包括的に顧問契約でサポートをすることを提案するということです。
3.スポットでの相談を顧問契約で包括した支援をできる提案ができているか
たとえば、「従業員1人を解雇したい」という相談があった場合に、多くの先生はそれをスポットで受任し、退職勧奨に向けてのアドバイスや同席をされ、万が一紛争化した場合は訴訟の対応まで行われて終了されるのではないかと思います。
上記の図で言えば、スポットで受任はせず、顧問契約を締結したうえで、着手金は分割し事案の対応をしながら、次に問題社員が出た場合に解雇をし易い体制の構築や書面の見直しを行うことや、問題社員が発生しない組織作りを顧問としてサポートしていく、という提案も検討でき、実際に実践されている先生方もいらっしゃいます。
これもいわば「提案」という名前の「営業」に置き換えられるのではないでしょうか。
このように顧問契約を締結するうえでも、スポットの受任率を引き上げるうえでも「営業」という考え方は重要になります。
また、以下に一般論として言われている「営業のポイント」について列挙しておきますので、ご参考ください。
4. ご参考情報
(ア)般論として言われている営業のポイント
1.営業=コミュニケーション。人間関係の基本的なマナーを徹底する。
笑顔で接する、目を見て話す、メモを取るなどの所作を怠らない。
2.商品・サービスを「売ろう」としない。顧客から買ってもらう。
問題解決を手助けする「良き相談者」としてのスタンスを取る。
3.サービスの特性・理解を深め、魅力を心から語れるようにする。
技術に頼らず、自然に勧められる状況にする。
自身の顧問業務に自信を持つ。経営者にとっての価値をつかみ確信する。
4.「説得」ではなく、「納得」してもらうように話す。
こちらが話しをするよりも、相手に話してもらう割合を増やす。
5.一方的に話しをし過ぎず、「間」を意図的に作る。
考える(検討する)時間、判断・決断をする時間を作り出す。
6.二つの選択肢を提示して、強制的にどちらかを選択してもらう。
小さな「YES」を重ねることで、大きな「YES」をもらう。
7.いきなり本題に入らず、アイスブレイクを行い、警戒心を解く。
共通点があると心理的ハードルが下がり、本音を話しやすくなる。
8.「もし仮に…」という前言葉を使って、商品の具体的な提案をする。
相手が抱えている不安要素に耳を傾け、一つずつ解消していく。
以上、いかがでしたでしょうか。
有限の反響に対して、1件でも多くの受任や顧問契約を生み出すためには「営業」という考え方が重要になります。
船井総研では、このような顧問契約の提案を行ううえでの研修やセミナーも数多く開催しておりますので、興味関心のある内容がありましたら、この機会に是非、ご参加ください。
(イ)現在開催中の企業法務セミナーはこちら
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