広告・印刷業は、個人消費だけでなく、法人消費においても、
「紙」というものからシフトが始まっている中で、
これまでと同じ在り方を継続することを選ぶのではなく、
勇気を持って、「デジタル化」したことで、業績を伸ばし続ける会社があります。
畳業は、畳の張替えのみをサービス内容として扱っていては、
そもそも畳を持つ家屋の新規需要が過去に比べ減少する中では、
畳屋さんとして存在しているだけでは経営的に厳しく、
住まいをより良い状態にする「リフォーム」のカテゴリの一部と捉え直し、
商品付加することで、業績を伸ばし続ける会社があります。
先日、交通事故人身傷害研究会の会員事務所でもある弁護士法人サリュの平岡将人代表が、
あるテレビ番組で、自所を表現するのに
「日常生活において誰の身にも生じ得る、
事故やケガというものに対応する際に強みを持った法律事務所です」
という言い方を、なんとも自然にお話されていましたが、
私はここに、現在の交通事故事務所の未来を見たと感じました。
(実際の映像は、ぜひこちらのURLからご覧いただきたいと思います。
http://www.chiba-tv.com/program/detail/1069)
交通事故、中でも人が負傷するケースに限っても、年々大体5~6%で減少している、
というのが現状である一方、とはいえ各地域地域において日常的に交通事故は起こります。
また、弁護士の総数は年々増えていますから、
その中で少しでも交通事故業務を扱う弁護士も増えている、
という、需要と供給のアンバランスな状態が存在します。
ここで、市場が大きく変化する際に経営者が分かっておかなければいけないポイントその1として、
需要に対して供給がオーバーした場合、消費者が求めるのは、
「なぜそのサービスが他より良いのか」という問いに対する
「分かりやすい」「判断根拠」であるということです。
その最も分かりやすい表現というのが「専門店」と言えます。
供給が増えていく中で、企業が訴求するのは「うちは良いよ」ということですが、
皆が自分を良いと表現する中で、「どう良いのか」ということの根拠を示さなければ伝わらない。
そこで、「専門店化」という表現は分かりやすい上に、実態として量においても質においても、
「何でも屋」を凌駕することができる可能性が高いです。
次に、市場が大きく変化する、つまりどんどん成熟していく中で、
特徴的な消費者行動として理解しておきたいのが、個別性が高まる、ということです。
同じ「交通事故で困っている」と言ってWEBで調べる客層であったとしても、
その置かれた状況は様々な可能性がありますが、
これを捉えてマーケティングに活かせるか、で差がつくということです。
供給が需要を下回っている段階であれば、「交通事故に困っている方に対応する」
ということだけを表現していれば選ばれたものが、
今は、「私の気持ちや事情について理解してくれる弁護士かどうか」
というところがフィットするかどうかまで、選択の基準になっています。
消費者の心の声を、いかにマーケティングに乗せられるかが、今後のポイントになるでしょう。
最後に、それでもどうしても先々の市場の落ち込みが想定できるという場合に、
やはり中長期的な視点・戦略を持ち、次の展開についても考えるのは経営者の役割です。
その際、新たな市場に踏み出す場合の鉄則として、失敗をしないためには、
自社の既存顧客に新規商品を売る、あるいは既存商品を新規顧客に売る、というものがあります。
交通事故分野の場合、この考え方を上手く活用できるのが医学知識と損害賠償実務という
既存商材(交通事故)の骨格をもって、新規の客層(ケガ・事故全般)向けに
サービス展開を行う、というものになります。
法律事務所においては、そのサービスの特性上、既存顧客に対するクロスセルの限界がある中で、
特定法律業務で培った専門性を、別ニーズを持つ方々に展開していく、
という形での展開に広がりがあります。
市場という最も強力な要因が変化する瞬間だからこそ、
①供給が需要を大幅に上回ったときこそ消費者に分かりやすいのは「専門店化」、
②成熟マーケットこそ消費者の個別ニーズに近づいていくマーケティングを、
③既存顧客×新規商品か新規顧客×既存商品で次のマーケット展開を想定した準備を、
というところを、経営を担う所長弁護士にこそ、ぜひ押さえていただきたいと思います。
本コラムを読んで次の時代に備えようとお考えの交通事故事務所様には、
下記セミナーをお薦め致します。交通事故業務で培った実務経験を活かし、
より安定した市場である労働災害分野に取組んでみませんか?
https://bengoshi-samurai271.funaisoken.co.jp/seminar/030808/
2018年04月27日