2018年08月14日

【安倍政権「外国人労働者受け入れ拡大方針」の時流に適応する方法~人身傷害編~】

台風に、酷暑と、うかうかしていると楽しみきれずに過ぎてしまいそう、
そんな2018年の夏ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
船井総研の堀本です。
 
私は、働き方改革のお陰で取れたお休みを利用して、
遠くの親類を訪ね“田舎の夏休み”を満喫してきました。
普段想いを致す時間がなかなか取れないようなヒトやモノやコトに対して、考え、
行動を起こすことができる夏休みは貴重です。
年齢と共に、時間の使い方も変わることをしみじみ感じた次第でした。
 
毎週水曜日のメルマガですのでお盆も関係なく配信させていただきます!
 
今月8月1日に100名以上の士業事務所にご参加いただいた、
外国人労働者向けの入管手続き業務をフックとした
顧問サービスについてご紹介したセミナーでは、
会場の熱気から今後の外国人雇用増大の波にいかに乗るか、という点が
士業業界でも大注目を集めていることが伺い知れました。
(同セミナーは追加開催も予定されていますので、ご関心をお持ちの方はお問い合わせください)
 
現在、日本では約128万人の外国人労働者が存在していますが
(厚生労働省調べ、2017年10月末時点)、
確かに、外国人労働者の割合が多い飲食業や小売業では、
日常的に外国人の接客を受ける機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。
 
今後、在留資格を緩和し、単純労働の領域で外国人労働者の受け入れを強化するということが
6月5日経済財政諮問会議で表明
され、具体的な業種・現場として挙げられたのが、
農業、介護、建設、宿泊、造船の領域であり、今後もその対象が広がることが想定されます。
(各領域における外国人労働者活用強化の背景については割愛しますが、
 いずれも、高齢化・インバウンド市場等の外部環境変化と連動しています)
 
現在、既に外国人就労において門戸が開かれているものとして、
外国人技能実習生という制度があり、
実は、技能実習生自体の受け入れによる外国人労働人口も、
過去増加の一途をたどっています。
 
日本の経済的発展において、特に一部の産業では
不可欠となっているこの外国人技能実習生ですが、
その実態として、労働災害の問題が報告されています。
 
先程挙げた、今後外国人就労が促進される業種・産業の中でも、例えば建設業などは、
現在も製造業に次いで2番目に労災が発生している産業である、というのが実情です。
さらに、介護を含む保健衛生業も、報告されているだけでも
年間1万件以上の労災事故が発生しており、その数は年々増え続けています。
 
建設業などでは、現場での転落・墜落など、介護であれば、
高齢の方の移動等補助をする中で巻き込まれて転倒など、
事故・けがの大小も様々で、ひどいものでは脳へのダメージで
動くことさえままならない状態になってしまうケースなどもあります。
 
同制度に詳しい自由人権協会の旗手 明理事が
2018年1月に日経新聞の取材に対して答えたところでは、
「慣れない日本の労働現場、しかも労働安全衛生への意識が低い中小企業で働くことが多い上、
 実習生は日本語での意思疎通がうまくできない」
、と労災が多い背景を分析し、
「けがで働けなくなった実習生を強制帰国させるケースもあり、労災隠しは横行している」と、
外国人労働者を取り巻く労働環境や事故等が発生した際の対応の不十分さについて指摘しています。
 
「日本人の労働者に対しても、企業側が良いように対応し、
 本来十分でない補償であっても反論もできず、泣き寝入りしている被災者は多い」

静岡県を中心に公害問題等国家賠償請求事件の弁護団団長や
静岡大学で教鞭もとられた大橋昭夫弁護士(弁護士法人鷹匠法律事務所)も、
多くの労災事件に携わる中での実感をお話されていました。
 
日本人のケースでもこのようなことが想定される中で、外国人労働者のケースでは、
届け出られているものだけでも、日本人における労災件数水準を
約2.1倍と大きく上回る発生率となっていることが報告されています。
 
今後約5年で4割の外国人労働者を増やすという政策的決定がなされた中で、
外国人労働者当人が安全かつ適切に労働力を提供できる環境を整えていく上でも、
また日本自体の労働市場として魅力を増していく上でも、
各地域において中長期的視野で労働者の立場から
この問題に携わることには大きな意義がある
と考えられます。
 
着実に時代の変化が押し寄せる今、自社の取り組みの中から時流適応させ
社会的意義を地域にもたらすことのできる事業はないだろうか
と、
ぜひ改めてご検討いただけますと幸いです。
 
 
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