2016年06月27日

資格者が定着する弁護士事務所の特徴

法律事務所コンサルティングチーム 川上 英秀朗(かわかみ えいしゅうろう)

船井総研の川上と申します。
士業専門で採用・定着・育成に関するマネジメントコンサルティングに
従事させていただいております。

今回のコラムでは、『資格者の定着』についてお伝えいたします。
こちらのコラムをご覧になっている代表や経営幹部の方で、
下記のようなお悩みはないでしょうか?

・資格者はすぐに辞めても仕方ない・・・。
・所長と相性が良さそうな人を採用したが、結局すぐに辞めてしまった・・・。
・働きやすいよう気を使っているが、結局人財が定着せずに辞めてしまう・・・。
・ようやく1人前に成長したかと思うと、独立されてしまう・・・。
・辞める理由を聞いても原因が分からない・・・。
・正直、他の事務所よりは待遇や雰囲気は良いはずだが・・・。
・ここ数年、人財が定着せず、事務所が成長していない・・・。


士業の資格者は比較的簡単に独立できてしまうため、資格者は定着しなくて
当たり前と考えておられる方も多いのではないでしょうか。

実際に資格者に独立されることで事務所の売上が下がってしまう、
または資格者が長期間に渡り定着しないために
事務所が成長しないという状況が多く見受けられます。

そのような状況で、事務所を創業してから23年間、
一人も資格者が退職していない事務所を経営されている所長様がいらっしゃいます。

現在、仙台市で弁護士数10名の地域1番事務所を経営されている
官澤綜合法律事務所の官澤里美先生です。

官澤先生は長年の経験に基づく弁護士業務や事務所経営のポイントを書籍にした
「弁護士業務の勘所」と具体例を用いてわかりやすく弁護士倫理を解説した
「弁護士倫理の勘所」などの書籍も執筆されておられます。

また、平成16年より東北大学法科大学院の教授も務められており、
その講義は実践的で分かりやすいと大好評を博しておられます。

そんな官澤先生が所長弁護士を務める官澤総合法律事務所は、
開業して2年目の平成6年に初めて勤務弁護士を採用してから、
今まで採用した9名の勤務弁護士が1名も事務所を辞めておりません。

資格者の定着のために、独自の取り組みにより、
勤務弁護士が辞めない環境・仕組み作りを実現されております。

例えば、入所したばかりの新人弁護士は官澤先生と一緒に行動することで、
弁護士に必要な所作や事務所の理念やビジョンを学べるようになっています。

また、従業員の日報は官澤先生のみにメールで送るようになっており、
そこで日頃の様子を把握し、
もし不満や困ったことなどがあれば早い段階で対応することが可能です。

それから、資格者と事務局スタッフも定年まで働けるような評価制度作りに、
現在取り組まれています。

このような取り組みの根底にあるのが、
事務所設立から理念である「ここへ相談へ来て良かったと思っていただける事務所」、
「ここで働いていて良かったと思える事務所」という考えです。

多くの士業事務所ではCS(顧客満足度)の向上は目指していますが、
ES(従業員満足度)の向上まで事務所の理念として向上を目指している事務所は
まだ少ないのではないでしょうか。

一口で「資格者を定着させる」といってもその手法は様々で、
さらにその手法は前提となる『考え方』がとても重要となります。

非常に難しい課題ですが、官澤先生のESに対する考え方と
取り組みを是非参考にしてください。

法律事務所コンサルティングチーム 川上 英秀朗(かわかみ えいしゅうろう)

川上 英秀朗(かわかみ えいしゅうろう)

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