顧客開拓の1つの方法として
セミナーを開催している事務所もいらっしゃるのではないでしょうか。
セミナーの最終的な目的は、セミナーそのものへの集客ではなく、
業務を依頼していただくことにあります。
会計事務所の強みは、税務や財務を通じて「会社の経営」に深く関われるところにありますが、
そのような中で創業期の経営者に対して資金面の課題にアプローチできるのが「創業融資セミナー」です。
今回は、会計事務所が創業融資セミナーを開催するメリットや、
開催するにあたっての具体的なノウハウについてご紹介します。
■セミナー営業のメリットとは
創業融資に限ったことではありませんが、
会計事務所がセミナーを開催することには営業面で3つのメリットがあると考えられます。
1.事務所のブランディングができる
定期的にセミナーを開催することによって、会計事務所にその実績が蓄積され、
「この会計事務所は非常に実績があり、信頼できる事務所に違いない」
というブランディングが可能になります。
船井総研でも実際に、開業して2、3年というキャリアの事務所が、
商工会やネームバリューのある企業などからセミナー講師を依頼されている、という事例があります。
2.良質な顧客を開拓することができる
セミナーに参加する人の多くは、具体的な依頼を検討する前段階の潜在ニーズを抱える層です。
例えば、創業融資を受けるために具体的に動き始めている人は、
セミナーではなく直接会計事務所に相談に来るのが一般的な動きだからです。
このような潜在ニーズを抱える層は、まだ情報収集をしている段階でもあるため、
セミナーを通じて会計事務所主導で啓蒙を行うことができます。
参加者を啓蒙することで、参加者が
「この会計事務所にお願いできるなら、多少報酬額が高くてもかまわない」と感じ、
値段ではなく、会計事務所そのものに価値を感じて依頼してくれる
良質な顧客となる可能性が高まります。
3.新たな客層を開拓することができる
セミナー営業で獲得できる層は、緊急性も低く、依頼のニーズも高くはありません。
この層はリスティング広告では取りこぼしやすいところですが、
将来的に顧客になる可能性が高いため、できるだけ早い段階で開拓しておくことが重要です。
リスティング広告ではなかなかアプローチできない層にアプローチでき、
新たな客層を開拓できるのもセミナー営業のメリットです。
■セミナーを企画するとき重要な5つのポイント
こうしたセミナー開催のメリットを踏まえた後は、
実際にセミナーを企画し、開講するという流れに入っていきます。
セミナーを企画するときに重要となる5つのポイントについて順を追って解説しましょう。
1.テーマ
創業融資セミナーでは、最終的に創業融資業務を依頼してもらうことがゴールとなりますが、
融資「将来的に返さなければならないお金である」というイメージが強いものです。
そこで、創業融資セミナーであっても、創業融資までの動線として、
助成金や補助金といった資金調達方法を入れ込むことがポイントです。
このとき、参加者の意識が補助金や助成金に流れてしまわないように
セミナーを構成することが重要です。
無償で得られるお金は要件を満たすことが難しいため、
創業融資を検討しようという流れに持って行き、
メインテーマとして「創業融資を成功させるコツ」などを伝えることが王道といえます。
2.ターゲット
創業融資セミナーのターゲットは、創業融資を受けようかどうか迷っている人です。
リスティング広告で獲得する層に比べると緊急性は低くはなりますが、
創業準備中の早い段階でつながることができるというメリットがあります。
3.費用
セミナーの開催を定例化して実績を作り、
事務所のブランディングにつなげることがセミナー開催の目的です。
そこでまずは参加費を無料にし、参加者のハードルを下げることもポイントです。
4.開催日時
創業予定の方の多くはサラリーマンとして会社に勤務しているため、
土日か平日の夜開催が集客しやすい時間帯です。
セミナー自体は1時間くらいの短めにしておくと、より参加しやすいでしょう。
タイムスケジュールの一例をご紹介します。
18:30 受付、開場
19:00 セミナー開催
20:00 名刺交換、退場
20:30 主催者側撤収
5.会場
セミナーの参加数にもよりますが、参加人数に見合った広さの会場にすることが重要です。
会場が狭すぎると圧迫感が出てしまい、広すぎても落ち着きません。
創業融資セミナーは、
参加者一人ひとりとコミュニケーションが取れる4人から6人くらいの規模が適していて、
参加者が円卓を囲む座談会形式がお勧めです。
円卓にすることで全員が顔を見ることができ、
アットホームな雰囲気でセミナーを進められるからです。
■セミナーの集客方法と、事前にしておきたいフォロー
セミナーを開催する際の最も高いハードルが集客ではないでしょうか。
ここでは、利用しやすい集客方法を3つご紹介します。
1.Facebookページのイベント機能を活用する
Facebookページのイベント機能を使ってセミナーを立ち上げ、さらにFacebook広告を出稿します。
Facebookでは、ターゲットを絞り込んで広告を表示することができます。
2.事務所のサイトにセミナーの情報ページを掲載する
事務所のサイトに創業融資セミナー情報ページを掲載します。
集客を促進するポイントとして、過去のセミナーで回収したアンケートをPDFで掲載すること、
さらに、お問い合わせフォームを載せて、すぐに申し込みができる動線を作っておくことが重要です。
3.セミナー告知媒体を活用する
最後が、「こくちーず」など無料のセミナー告知媒体に広告を掲載する方法です。
他の2つの集客方法に比べると効果が落ちはしますが、
コストもかからないため活用する価値はあります。
申込者には事前フォローを忘れない
実際に申し込みがあった場合は、
セミナー開催前に電話でコンタクトをとり、あいさつ御礼を伝えましょう。
開催前に接触を持っておくことで、当日まで相手方の温度を保つこともできます。
また、離脱を防ぐため、参加前日にリマインドメールを送ることもポイントです。
■セミナー当日に必ず行いたいこと
当日は、もちろんセミナーを成功させ、事務所の実績を作り、
さらにブランディングにつなげることが重要です。
ここで忘れてはならないのが、セミナーの「目的」です。
最終的なゴールは創業融資セミナーの成功ではなく、「仕事を取る」ところにあります。
それを踏まえて、当日に行いたいことを紹介します。
・会計事務所や講師の実績をしっかり伝える
創業融資に強い会計事務所なのか、
過去に創業融資を成功させてきた実績があるのか、
というアピールポイントは、参加者にしっかり伝えておきましょう。
ただ、口頭で実績をアピールするとうさんくさく感じられてしまうため、
レジュメやスライド資料に文字として掲載するなどの方法を活用しましょう。
控えめながら、しっかりとアピールすることがポイントです。
・セミナー後はリードを獲得する
セミナーが成功した場合、講師や会計事務所に対する参加者の印象は、
セミナー開始前に比べてかなり上昇しています。
この状態ではリードの獲得もしやすくなっていますので、リード獲得の誘導は必須です。
リード獲得の方法としては、メルマガの登録やFacebookの友達申請などいろいろな方法がありますが、
今活用したいのがLINE@です。まず参加者に「LINEをしていますか?」と切り出し、
その後にLINE@に誘導することで、スムーズに登録していただけます。
・アンケートを集める
セミナー広告のところでも触れましたが、
これまでのセミナーに関するアンケートは次回以降の集客に活用できます。
また、「個別の相談を希望する」という欄を設けておけば、
すぐに創業融資の依頼につながりやすい人を選別することができます。
■まとめ
今回は、会計事務所が「創業融資セミナー」を行う具体的な方法や、
押さえておきたい視点について解説しました。
創業融資セミナーは、
これから起業しようと考えている顧客にアプローチできる有効な営業方法の1つです。
ぜひこの記事を参考にして、創業融資セミナーを成功させてください。
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