会計事務所コンサルティングチーム 鈴木 利明(すずき としあき)
近年、これから開業する税理士先生や、開業されたばかりの税理士先生より、開業直後の事務所経営に関するご相談をいただく機会が多くなっております。
その中でも特に、
・開業直後、どのようにして顧問先を増やしていくべきか?
といったご相談を多くいただいています。顧問先を増やすことを考えるにあたり、逆に”顧問先が増えない”理由を事前に知っておくことで、失敗を防ぐことができます。
そこで、”顧問先が増えない”開業税理士に共通して陥りやすいことを3つご紹介させていただきます。
●”顧問先が増えない”開業税理士が陥りやすい3つのこと
1.付加価値の高い独自サービスへ特化した結果、顧問先が増えない
開業された先生の中には、前職の経験を活かして、開業直後より付加価値の高い独自サービスへ特化しようとお考えの先生もいらっしゃるかと思います。
独自性を追求すること自体は重要ではありますが、開業直後から独自サービスへ特化することとスピードを両立させることは難しいようです。
実際に弊社の会員事務所の中でも、開業直後から独自サービスへ特化した事務所と、再現性の高い成功事例をベースとしたサービスへ特化した事務所では、結果的に大きな差が出ています。
弊社の会員事務所の中でも、開業からスピード感を持って成長されている税理士の90%以上は、まずは再現性の高い創業顧客の獲得を目的とした創業支援サービスへ特化されています。
その結果、開業初年度から24~48件程度の顧問先を増やし、開業後2~3年間で顧問先を100件以上増やされる先生もいらっしゃいます。
そして、ある程度の顧客基盤が構築されてから、事務所固有のサービス開発に注力されています。
一方で、開業直後より独自サービスへ特化した結果、思うような顧問先獲得が実現できなかったというお話を伺うことがあります。
開業してすぐは、事務所としての実績が無くサービスを利用してもらう(知ってもらう)機会が思うように得られないこともあり、前職の延長では上手くいかなかったという理由があるようです。
顧問先を増やし、確実に安定基盤を構築するという目的に置いては、開業直後は再現性の高い成功事例をベースとしたサービスへ特化したほうが、売上・顧問先の数の伸びも早く、本来取り組みたかった独自サービスへの展開も結果的に早くなる傾向にあります。
2.自然発生的な紹介に依存した結果、顧問先が増えない
開業当初は、前職の顧問先や知人経由の紹介により顧問先が増加する傾向があります。
しかし、このような自然発生的な紹介は、しばらく経過すると止まってしまうことが多いようです。
実際に、紹介経由の顧問先は10~20件程度で止まってしまった…というお話をよく耳にします。
新たな紹介を発生させるためには、新しいネットワークを構築する必要がありますが、短期的にネットワークを構築することは決して簡単ではありません。
自然発生的な紹介以外による明確な受注ルートが確立されていない場合、短期間で新たな顧問先を狙って増やすことは困難です。こうなると、売上計画・目標の見通しを立てることもできません。
自然発生的な紹介依存から脱却するためには、顧問先を狙って増やすことができるような事務所独自の受注チャネルを構築する必要があります。
3.マーケティングに投資をしない結果、顧問先が増えない
近年、事務所独自の受注チャネルを構築するために、開業直後からマーケティングに投資をしようとお考えの先生が多くなってきました。
開業直後の税理士が行っているマーケティングの具体例としては、
①事務所の注力サービスを創業支援とし、
②メインターゲットを創業者に絞り、
③創業者が必要とする商品(資金調達支援・会社設立代行支援等)を揃え、
④商品を必要とする見込み客をHPで安定的に集客し、
⑤問い合わせのあった方へクロージングを行い、
⑥継続的に新しい顧問先を増やしていく
です。
また、その一方で、
・我流で集客HPを作ったが、問い合わせが無い…
・毎月数万円使ってポータルサイトに掲載しているが、受注0…
・Web広告を活用しているが、受注獲得コストが紹介会社手数料と変わらない…
・他事務所のDMを真似して作ったが、1件も電話が鳴らない…
等、新規顧問先獲得に向けた取り組みを行っているものの、思うような成果が得られていない”失敗事例”をよく耳にすることがあります。
残念ながら、取り組みから成果を得られていなければ、”マーケティングをしない”場合と同等の状態です。
マーケティングを成功させ、継続的に新しい顧問先を増やしていくためには競合他社との差別化を図る必要があります。
差別化を図る要素として、特に開業税理士が即成果を上げるために重要視すべきなのは、
①商品力:品揃え、適切な価格、導入効果…
②集客力:HP、Web広告、DM…
③営業力:電話対応、面談対応、事後フォロー…
です。上述した”再現性の高い成功事例をベースとしたサービスへ特化する”ことを前提に、各要素でどのような差別化が図ることができるのかをお考えください。
以上「”顧問先が増えない”開業税理士が陥りやすい3つのこと」をご紹介いたしました。
開業直後、皆様が希望されるペースで顧問先を増やすにあたり、少しでもお役立ちできましたら幸いです。
その他、開業全般に関するご相談も受け付けておりますので、開業に関してのお悩みやご不安をお持ちの先生は、お気軽にご相談ください。
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鈴木 利明(すずき としあき)