皆さま、こんにちは。船井総合研究所の吉冨国彦でございます。
今回のテーマは弁護士が「高単価顧問契約を獲得するポイント」を紹介させていただきます。
企業法務研究会では、会員事務所様の成功事例をヒアリングさせていただいているのですが、
月額10万円以上の顧問契約を獲得する事例が増えてきました。
10万円以上の顧問契約を獲得している背景や提案方法において、
共通項が見えてきましたので今日はそのご紹介になります。
高単価の顧問契約を獲得しているポイントとして、
・業種への理解がある
・ビジネスへの理解がある
・包括的な支援提案をしている
ということです。
ポイント1.業種への理解
まず、「業種への理解」ですが、業種や企業規模により法務ニーズは異なります。
日弁連の第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書資料編によると、
「建設業」は下請け問題、不公正取引、「情報通信業」はハラスメント、コンプライアンス、
情報管理、特許・営業秘密、そして「運輸業、倉庫業」であれば雇用問題がその分野における
最たる法務ニーズとなっています。
1人で70社以上の顧問先を抱える先生に顧問契約を獲得するポイントを伺ったところ、
会社四季報や業界地図が毎年出版される度にすべてのページを読み、
数ある業種や業界への理解を深め、
その業種の経営者から問い合わせがきた際の話の材料にされているとのことでした。
その業界や業種への知見があることで、「信頼感」を得ることができ、
比較購買された際の決め手になることもあるとのことでした。
ポイント2.ビジネスへの理解
次に、「ビジネスへの理解」ですが、顧問先のビジネスに理解を示し、
そこに貢献ポイントを見いだせている弁護士が高単価顧問契約を結んでいると感じています。
高単価顧問契約を獲得されている弁護士が実際の顧問業務において取り組んでいることに、
「月次での企業訪問」や「幹部会議への参加」があり、
訪問時に決算書や財務諸表を提出してもらい、
財務会計に関するアドバイスをされている先生や、
幹部会議でその企業が検討している新規ビジネスについて教えてもらい、
関連する契約書を整備、チェックすること以外に、法的な留意点がないかといったアドバイス、
場合によっては企業内研修を提案し、新規ビジネスが円滑に進められるような
体制構築支援を顧問業務の一環として提供されている先生もいます。
ポイント3.包括的な支援提案
そして、「包括的な支援提案」ですが、多くの場合、
経営者は顧問契約を最初から依頼するのではなく、
スポットで依頼をされるケースが多いかと思います。
例えば、「就業規則」の作成、見直しに関する依頼が入った場合、多くの先生はその要望に応え、
必要個所を修正し納品する場合がほとんどなのではないでしょうか。
一方、「就業規則」の作成に関する依頼を受け、
それを高単価での顧問契約に繋げている先生は、
「就業規則」を作成するだけでは、労務トラブルを未然に防止することは難しいことを伝え、
雇用契約書や競業避止誓約書、業務請負契約書など、就業規則に関連する書面の一括整備と、
ハラスメントなど労務コンプライアンスに関する研修も合わせて提案をされています。
つまり、労働トラブルを未然に防止し、
万が一紛争化した際にも被害を最小化するための労務体制構築を、
顧問契約の範囲で対応するという提案で月額10万円以上の契約を獲得されています。
弁護士の顧問契約の平均単価は3万円~5万円程度が相場となっていますが、多くの場合、
「何かあった際にすぐに相談できる」という保険やお守りといった観点での訴求になっており、
経営者もそのことを承知の上で顧問契約の依頼をしているケースが多くあります。
一方で、月額10万円以上で弁護士に顧問契約を依頼する場合には、自身が経営している業種や業界、
自社が取り組んでいるビジネスに理解を示してくれ、
依頼をした内容に留まらない法律や知見を駆使した支援をしてくれる弁護士を
選んでいるということが見えてきました。
これは私が実際にご支援をさせていただいている弁護士の顧問先企業に対するインタビューの中でも
同様の声を経営者から複数頂戴しました。
上記3つの取り組みについては高単価の顧問契約を獲得するだけでなく、
顧問契約の継続率を高く維持することにも寄与しますので、
今後顧問契約の獲得数を増やし、顧問業務の生産性を向上させたい先生方には
参考にしていただければと思います。
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