2021年04月28日

コロナ禍で士業経営者が考えるべきことは、自らがディスラプターになる発想を持つこと

―あらゆる企業が士業との競合関係になる

コロナ禍で外部環境の変化が加速する中で、士業にも大きな変革の波がすぐそこまで迫っていることを実感します。
相続分野では、不動産会社が「不動産相続の窓口」というFC業態を展開していたり、信託分野では鉄道系不動産会社なども銀行と業務提携をしていたり、身元保証業務では当初士業(弁護士や司法書士)が取り組んでいたものの保険業や不動産会社が参入しています。

各サービスのライフサイクルが進む分だけ業際は消えていきますが、コロナ禍でどの業種の企業も生き残りをかけて業際拡大を図っていくため、これまで以上のスピードで業際が溶けていっています。

もう少し前からの動きでは、社労士が得意にしていたバックオフィス業務である給与計算関連のペイロール事業や税理士がバックエンド商品にしていた経理代行業務も一般事業会社がより便利によりリーズナブルな価格でサービス提供をしています。

そして、直近の事例では、「金融機関が中小企業に税理士の顧問業務を紹介する際に紹介手数料を請求する」ようになってきています。
これは銀行の業務範囲や出資規制を定めた5%ルールを緩和する動きが加速していく中で将来的には銀行が税理士業務をインハウスにするようなことも想像できる動きの一端にも思えます。

―業務独占がなくなる前提でビジネスを捉え直してみる

これらの変化を士業事務所がどう捉え直すかが問われています。これまで紹介してきた状況から現在の士業資格の業務独占が未来永劫保証されるということはまずないでしょう。むしろ「業務独占がなくなることを前提として、今のアドバンテージがあるうちに何を徹底的に強化するか」を決めないといけません。

例えば、相続税申告や相続手続代行業務に士業事務所は強みをもっていますので、将来的に業務独占が撤廃されたら、エンドユーザーはどのようなサービスを選ぶでしょうか。
相続手続の一部分のしか担うことのできない今の士業事務所を選択しないと思います。
相続手続がワンストップサービス(生前対策、相続手続、遺産整理、相続税申告、遺族年金)は当然で、さらにその周辺業務の不動産売却や活用、保険や身元保証、死後事務委任業務などあらゆるサービスをシームレスで提供できる事業者が選ばれるのは火を見るよりも明らかです。
これはBtoC業務に限らず、BtoBの顧問系業務でも同様です。
今の士業事務所がそれぞれ別々に提案している顧問サービス(主に弁護士・税理士・社労士)も企業側にとっては業務独占がなくなるとしたら本当に便利で顧客側に選ばれる競争力を持ち合わせているサービスになっているでしょうか。

―自分たちがディスラプター(業界外破壊者)になれないかを発想する

ここまでの話ではひょっとしたら士業領域が外部から攻め込まれるような話に聞こえてしまっていたかもしれません。
ただ、実際にはそうではなく見方によっては士業事務所の方が大きなチャンスがあるのです。
我々こそがディスラプター(業界外破壊者)になれるチャンスがあるのです。
その理由として最初に挙げられるのが、法律に精通していることです。
どんなに優秀な事業者でも法律分野に「上る」ことは難易度から考えて相当にハードルが高いのです。一方で士業事務所はその最難関の法律分野から「下る」と考えればより大きなチャンスがあるのは士業事務所だとも考えられるのです。
実際に士業事務所が不動産会社や住宅ローン会社に取り組んで成功している事例は多数存在しますし、民事信託コンサルや経理業務や補助金業務を付加業務として成功させています。
そう考えると業務独占が撤廃されることを前提に、士業事務所自らがディスラプターになる可能性を追求しカタチにすることで、利用者に熱烈に支持されるサービスを生み出すことにつながり、将来に渡って生き残れる事務所になれるのだと思います。

【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 小高 健詩(おだか けんじ)

2007年 船井総合研究所入社 2008年 士業コンサルティンググループ 司法書士チーム配属 2012年 士業コンサルティンググループ チームリーダー 2016年 士業支援部 グループマネージャー 2020年 士業支援部 マネージングディレクター

「共通 」カテゴリの関連記事