2019年03月28日

No.2人財の育成はできていますか?
~持続的成長を続ける事務所になる為に~

こんにちは!船井総合研究所の小川原です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
 
早速ですが、先生方の事務所では「No.2人財」はいらっしゃいますでしょうか?
いらっしゃる場合は、役割分担や求めることは明確になっていますでしょうか?
いらっしゃらない場合は、その候補となる人財はいらっしゃいますでしょうか?
 
まず初めに、「No.2」と一言で言っても明確な役割や立場はあいまいであることがほとんどです。
言葉では「番頭」「懐刀」「右腕」などで表現されることがありますが、
果たして明確な役割とは何になりますでしょうか。
少しさかのぼり歴史的な観点から見てみようと思います。
 

 
このように正解的な企業では必ずと言っていいほど、No.2の存在がいらっしゃいます。
経営者とNo.2ではどのような役割分担がなされているかまとめたものが以下のものです。
 
【HONDA】
本田宗一郎氏:技術の天才と評されることが多い
藤沢武男氏:経営の天才と評されることが多い
【Panasonic】
松下幸之助氏:誰もが知っている経営の神様
高橋荒太郎氏:その松下幸之助氏を支えた「松下の大番頭(現場責任者)」
【SONY】
井深大氏:製品開発等好きなことだけを行っていた(本人談)
盛田昭夫氏:労働組合との調整など大変なことを一手に引き受けてくれた(井深氏談)
 
この役割分担を見てどのようなことを思われますでしょうか?
ズバリ「経営者の苦手なこと・手の届かないところ」を補っているのがNo.2です。
 
どんなに優秀な経営者でもできることには限りがありますし、
船井流で考えると長所伸展なので、
得意なことに、分野に集中できると成果を発揮するのは
経営者でも同じと考えることができます。
 
また、よく夫婦関係で表現をされますが、
強く厳しく接する「父性」と怒られてもしっかりフォローしてくれる
「母性」のバランスをとることもNo.2の条件としては求められます。
 
では、士業事務所の場合はどうでしょうか?
基本的に一般企業でも、士業事務所でもNo.2の役割は変わりません。
 
士業事務所の場合は、少人数で事務所を運営している事務所様も多いので、
全て一人でやるのには限界があります。
代表が営業も、数値管理も、経理も、勤怠管理もしていては
本来の「経営者としての仕事」が出来なくなります。
 
より業績アップを実現したり、より生産性向上を実現したりする場合には、
経営者一人ではなく、信頼のおけるNo.2の存在は必要不可欠です
 
そのNo.2はどのような人財が理想的なのか、考えてみたいと思います。
 

1.階層別ビジネススキルから考える


 
ハーバード大学の経営学者ロバート・カッツ氏は階層別で
必要になるビジネススキルの特徴を上記のようにまとめています。
またその中で「No.2人財」に必要となるのは「対人関係処理能力」であると述べています。
 
特に、経営者と従業員の間に入り、どちらにも偏ることなく調整する機会は多くあるかと思います。
日ごろからしっかり双方とコミュニケーションを取り、
信頼関係を築いていくことが求められるでしょう。
 
また、新しい取り組みなどを従業員の方に落とし込む役割としても
「働きかけ力」というのは非常に重要なスキルであると思います。
 
どんなに優れた計画があっても、実行できなければないものと同じであるので、
このコミュニケーション能力と働きかけ力は大きな判断基準になると思います。
 

2.自己犠牲×保有能力で考える


 
自己犠牲能力というのは読んで字のごとく会社の為に
「自分を犠牲にして取り組めるか」の能力です。
 
No.2は経営者の考えを体現し、落とし込むことが求められますが、
何か新しい取り組みをするときは、その動きが大きければ大きいほど、摩擦は大きくなります。
 
その時に矢面になり、自ら行動を求められる機会も少なくありません。
そのような「犠牲にできる能力」は必要不可欠になります。
 
保有能力というのは聞きなれない言葉かと思いますが、
「いつでも発揮することのできるが、保有しているだけの状態の能力」のことを言います。
近しい言葉だと「潜在能力」です。
 
この保有能力というのは勉強や試験などを行うことで改善することができたり、
経験が積まれると改善されたりすることもありますので、
必ずなくてはいけないというものではありません。
こう考えると「自己犠牲能力」の有無が一番の要素となりうるでしょう。
 
ここまで述べてきたNo.2人財に求められる能力をまとめてみます。
 

 
(1)前向きな視点における相反的な人財であるべき
経営者とNo.2人財の関係性で見ると、能力的にも、性格的にも
相反していることがひとつのポイントになります。
 
相反的にという意味では得意・不得意分野の分担であったり、
厳しい・優しいなどの性格的な要素での分担であったりが挙げられます。
 
(2)自己犠牲的な人財であるべき
自己犠牲能力があることが大切とお伝えしましたが、
その自己犠牲は「経営者へのリスペクト」があって
初めて成り立つものであるということも忘れてはいけません。
 
経営者である先生の想いや考えに賛同してくれるかということも必要な条件と言えるでしょう。
 
(3)率先して行動でき、巻き込む力のある人財であるべき
その思いや方向性をしっかり体現してくれるのか、
落とし込んでくれるかという影響力のある人財(インフルエンサー)であることが必要になります。
 
タイトルに記載させていただいたように持続的成長を続けるためには、
No.2人財の存在は不可欠と言えます。
 
既にいらっしゃる事務所様、まだいらっしゃらない事務所様もあるかと思いますが、
自社の「No.2人財」について考えてみるヒントになりますと幸いです。
 
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
 
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

アシスタントコンサルタント 小川原 泰治(おがわら  たいち)

舶用機器メーカーを経て、2015年㈱船井総研へ入社。 入社以来、住宅・不動産業界のコンサルティングに従事。 その住宅・不動産業界での知識・経験を活かし、土地家屋調査士事務所のコンサルティングを得意としている。 「コンサルティングの答えは現場にある」をモットーに、土地家屋調査士事務所での測量業務を行う等、現場に入り込んだコンサルティングスタイルを大切にしている。 全国の土地家屋調査士事務所、30事務所50名の経営者と面談し、成功している土地家屋調査士事務所、選ばれる土地家屋調査士事務所のルール化も行っている。 土地家屋調査士業界の地位向上、認知度向上を果たすべく、日々コンサルティングを行っている。

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