2019年11月26日

相続分野のトップ企業を見て分かった!相続分野で勝ち残る為のヒント ~相続成功事務所 視察クリニック2019 レポート~

今年も11月13日(水)に相続分野に注力する士業事務所様で、
成功事務所視察クリニックを開催しました。

相続分野特化全国トップの相続税申告実績数を誇る「税理士法人レガシィ様」、
2つめは信託分野で近年急成長し、多くの士業・不動産会社などとのネットワークを広げる
「司法書士法人トリニティグループ様」、
そして3つ目は地域金融機関初の試みとして相続あんしん館を設置し、
相続顧客対応力の強化を図る「多摩信用金庫様」に訪問・ご講演をいただきました。

その中で、私が個人的に感じた所感と、今後会員事務所様に提案していきたいと考えたことを
シェアさせていただきたいと思います。

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東京都心は勝負あった?活路は地方にあり

今回の視察先である税理士法人レガシイ様、司法書士法人トリニティグループ様、
そして多摩信用金庫様は、相続税申告、民事信託、そして相続セミナー&窓口機能として、
現状でも全国トップの実績とシェアを誇ります。
これら企業と同商圏での、同様の取り組みは中途半端な模倣レベルでは一番が取れませんので、
取り組むべきではありません。

地方:シェア追及・LTV最大化(モデルを真似してスピード一番化)

一方、これらの事務所レベルで実践している地方商圏の事務所は殆ど存在せず、
圧倒的なシェアを誇る事務所は存在しないため、地方商圏における事務所様においては、
今回の視察先モデルを模倣するところから始め、早期に一番化を進めることが必要です。
将来的に一番が取れない取組みは、結果として不採算になる為に、
一番シェアを取れる取組みにこそ注力すべきです。
また、地方商圏は都心に比べて顧客数が少ない為に、他士業領域や不動産、保険などを
付加することでLTV(顧客生涯価値)を最大化することが必要です。
そういう意味でも地方商圏の先生方には、今回の視察先の中で多摩信用金庫様の取組みを
模倣してもらいたいと思います。

都心:マーケット追求(狭属性一番化)

もちろん、東京など大都市圏においても後発組から一番事務所をひっくり返すことは
可能ですが、他事務所にまけないUSP(企業独自の強み)があることと
圧倒的な資金力・投資力を有する事務所のみに限られるでしょう。
展開方法もまずは狭属性一番化を果たし、その後に横展開していく形になりますが、
実現可能性としてはとても難しいと思います。

 

相続相談窓口機能&プラットフォーム一番化

他業種と比べて士業の強みは「信頼」と「集客(正確には集客率|資金力では劣る)」です。
相続に伴う不動産の売却案件獲得や資産(不動産)コンサルを狙う不動産会社は、
士業に比べ「信頼」が低く「集客」に苦戦しています。
また、金融機関にとって相続事業はセンターピンではないために、殆どの金融機関が
本格的に注力していません。
「信頼」と「集客(率)」で勝てないと士業は負けるのです。

たましんの相続に対する取組み

そういった意味で、たましんの取組みを全国の信金、信組が取り組んでくるとなると
士業にとっては大きな脅威です。
顧客接点・ブランド力が圧倒的に強い金融機関が相続情報発信・窓口機能を強化すると、
士業はその下請けになり、仕事を受けても利益率が下がるため疲弊します。
結局は「相続相談の川上」の取り合いです。
来店型事務所(&セミナースペース)、相談振り分け機能、集客方法、面談対応、
生涯(次世代)接点創り、相続業態創りなどたましんの取組みは模倣できる点が
非常に多くあります。

 

顧客経験価値(カスタマエクスペリエンス)の再設計

多くの事務所にとって、受任までの導線は
大まかに「HP(セミナー)→初回面談→受任」と考えていると思いますが、
税理士法人レガシイ様では、書籍&メディアを通じたブランディング→実績多数掲載のHP
→エントランス&相談室→レベルの高いヒアリング&提案→受任と
「見込み客がレガシイを選ぶ理由創り」を徹底的に取り組んでいます。
営業専任スタッフが複数名所属されており、葬儀社、金融機関など
様々なルートに営業しているとのことですが、前述のブランディングの効果もあり
提携も比較的スムーズに進む、とのことです。

「顧客接点創り」はもちろん「顧客からの信頼構築」の仕組化が
競合との大きな差別化要素になります。
まずは、自社サービスが顧客層にどのような価値を提供しているか
自社スタッフ対顧客に対するサービス向上施策を考え抜き、「ここまでやれば…」を
納得いくまで積み重ねる必要があります。

 

自社資産(ノウハウ&データ&ネットワーク)の活かし方

司法書士法人トリニティグループ様の取組みも士業の強み、自社資産を最大限活かしたもので、
全ての事務所様で取り組むべき内容だったと思います。
トリニティグループ様ではそれが信託ですが、
各々の事務所で取り上げるべきノウハウは異なるはずです。
自社が培った経験&ノウハウを欲しがるチャネルを洗い出し、それらを提供することで
チャネル先の本業が更に伸びることが理想です。

永続的に発展するための「BtoBtoCマーケティング」

即効性という面においてダイレクトマーケティング(BtoC)は大事な取組みですが、
中長期的な視点で永続的に発展させるにはBtoBtoCマーケティングにも取組む必要があります。
士業専門家が持つ相続や生前対策のノウハウ提供先としては金融機関、不動産、他士業、
保険、介護、葬儀などの分野が考えられるでしょうか。

BtoBtoCマーケティングは、ネットワークを作ることで紹介案件を増やせることも強みですが、
それ以上に自社のファン創りができ、更にデータやノウハウが自社に集まることで
マーケティングをより強固にできることで、永続的な発展が可能です。
今後、より複雑化していく社会において、これらネットワークの大小で
将来的なビジネスの成功可否が決まるといっても過言ではありません。

【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 川崎 啓(かわさき けい)

新卒で株式会社船井総合研究所に入社後、多岐に渡る業界の経営コンサルティングに従事した後に、司法書士事務所専門コンサルティングチームへ。 現在は、全国20を超える司法書士事務所の経営サポートを行っており、その大半は相続業務を基軸に業績アップの提案を行っている。 WEBや紙媒体を駆使して、一般顧客からの受任を獲得するダイレクトマーケティング支援はもちろん、遺産整理や遺言執行などの業務導入を促進し、相続平均受任単価を倍増させる支援や、早くから成年後見業務の社会性、将来性、収益性の可能性を感じ、ご支援先に対して後見業務を切り口とした介護関係チャネルの営業支援を行い、業績アップ、永続成長事務所創りをお手伝いしている。 司法書士の社会的地位の向上を後押しすることをミッションとして、日々経営サポートに励んでいる。

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