2017年09月20日

会計事務所が行う!信託業務の成功事例

会計事務所コンサルティングチーム 岡本 千賀子(おかもと ちかこ)

皆様、こんにちは。会計事務所向け相続マーケティングを専門に支援している、士業支援部会計グループの岡本千賀子です。

昨今、相続マーケティングを行っている会計事務所事務所への「民事信託・家族信託」の相談、受任件数が急激に増加しています。

というのも、2025年には65歳以上の高齢者のうち約700万人、5人に1人が認知症患者になると見込まれています。
高齢化が進み、さらにその中で認知症患者が増加することが見込まれている状況において、「民事信託・家族信託」は、相続・資産税を扱う会計事務所にとって、相続関連ビジネスの中でこれから伸びるマーケットとして重要なサービスになってくるといえます。

「民事信託・家族信託」について、実際に我々のご支援先の会計事務所で受託した信託の事例をご紹介いたします。

【認知症対策としての信託活用事例】
■相談者
 ・財産管理者A(83歳)、長男B(55歳)
■相談者の家族状況
 ・財産管理者A(83歳)、配偶者(80歳)、長男B(55歳)、長女(50歳)
■相談者の財産状況
 ・財産総額5億円
 (1)土地・不動産80%
 (2)現預金10%
 (3)保険10%
■税理士へのご相談内容
 ・財産管理者Aが、最近物忘れをするようになっている
 ・今は、心配する程度ではないが、さらに状態が悪化してしまった場合、どうすればいいのか心配である
 ・相続税対策を含めて、事前にできることはないか
■税理士からの問題提起とご提案
 ・財産管理者の高齢化によるリスク
 (1)不動産保有者が生前に認知症になった場合、生前の不動産売却・活用などの相続対策ができなくなる
 (2)総資産に占める不動産の割合が高いため、相続発生時に納税資金が不足する可能性がある
 (3)不動産収入により年々総資産が増加し、相続税負担が大きくなる
 ・信託契約を結ぶことによるメリット
 (1)賃貸不動産は、賃貸契約から修繕契約等の日常的な契約を受託者が単独で行うことができる(信託の目的に反しない限り、売却も可能)
 ※後見人制度を利用する場合のように、後見人の同意を得る必要がない
 (2)受益者を財産管理者に設定すると、実質的な経済価値の移転はないので課税されない
 (3)受益者指定権者を指定することで、受益者を長男から、孫に変更することができ、実質的に財産の贈与をすることが可能となる
■結果
 ・相談者Bは、ご自身でも信託の内容を勉強され、提案内容に納得された上で信託契約を結ぶことになり、安心した人生を過ごせると喜んでいただきました。
■信託報酬
 ・税理士事務所における信託報酬は、財産総額の0.7%が概ね目安です(最低報酬は30万円以上)

 上記事例のように、財産を管理していた本人が認知症になってしまった場合、その家族は下記のリスクを背負うことになります。
 (1)財産にかかわる契約(賃貸契約・売買契約・資金の借り入れ契約)ができなくなる
 (2)後見人を選任し、財産管理をしなければならない
 (3)財産の処分は後見人の同意の下で行わなければならない
 (4)贈与ができなくなる

しかし、上記4つのリスクについては、「民事信託・家族信託」を活用することで解決できます。もちろん、認知症が進行し、法律行為ができなくなってしまってからでは信託契約も結ぶことはできません。したがって、認知症になる前に信託の提案をすることが重要です。

もはや、「民事信託・家族信託」は税理士にとって無関係のものではありません。
これから超高齢化社会が確実に到来するにあたって、相続対策の中の信託契約サポートは、ニーズが顕在化してくるサービスであると考えています。会計事務所としても、相続税申告案件に加えて、業績アップにつながる取組みです。今後の時流のサービスになることは、間違いありません。

多様化する財産承継に対応できるよう、専門家である会計事務所として準備することで、お客様の選択肢が広がります。これから伸びるマーケットであるので、相続の専門家である税理士として、早めに取り組みましょう。

https://www.funaisoken.ne.jp/mt/samurai271_zeirishi/inquiry.html

【この記事を書いたコンサルタント】

マーケティングコンサルタント 岡本 千賀子(おかもと ちかこ)

大阪府出身。 国内証券会社を経て、(株)船井総合株式会社へ入社。 現在は、会計事務所の相続マーケティングに従事している。 前職での営業のノウハウや資産家への商品提案力を強みにし、WEBマーケティングやチャネル開拓を得意としている。

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