2019年04月03日

中小企業の事業承継の課題解決をする「事業承継MAS」とは!?

こんにちは!船井総合研究所の稲冨です。
今回のコラムでは「MAS」について研究をしていければと思います。
 
まずは、本筋に入る前に税理士業界の現状についてです。
皆さまご存知の通り、「AI・RPA・行政の生産性革命」などの外部環境の変化により、
これからの税理士業界は高付加価値業務へのシフトが必須です。
 
多くの会計事務所が高付加価値業務の一つとして
MAS事業に取り組まれているのではないでしょうか。
 
ただ、実態としては、MASの事業化は進んでおらず、
既存顧問先への提案などに終始し、5件~10件で頭打ちという状態が多いです。
 
そこで、今回はMASを事業化するための「事業承継MAS」について研究をしていければと思います。
 

1.なぜ事業承継MASなのか?

まずは現状の中小企業の経営課題は何でしょうか?
中小企業白書などのデータを分析すると、現状の中小企業ステージ別の経営課題は、
 

 
にまとまるのではないでしょうか。
そして、これから中小企業のより大きな経営課題となるのが「事業承継」です。
 
その実態は「中小企業の経営者の年齢分布・後継者の決定状況・
事業承継の準備状況・後継者の育成に必要な期間」などのデータを考慮しても、
これから事業承継の課題が増加することは確実です。
 
今後の会計事務所の経営支援の在り方として、
事業承継の課題解決をするための「事業承継MAS」が必要となってくるのではないでしょうか。
 

2.なぜ事業承継MASなのか?

まずは事業承継の構成要素は
 
 ・人(経営)の承継・・・経営権
 ・知的資産の承継・・・経営理念・経営ノウハウ・ネットワーク・組織
 ・資産の承継・・・事業資金・不動産・自社株・相続・贈与
  
の3つですが、経営権・資産の承継は非常に分かりやすく、
資産の承継支援については多くの会計事務所が支援しています。
 
ただ、資産の承継支援ももちろん重要ですが、
中小企業の事業承継においては「知的資産の承継」も重要です。
 
知的資産の承継を行うためには、後継者育成が必要であり、その課題としては
「経営ノウハウの習得、財務会計の知識、自社ビジネスモデルの理解、
 業種・業界への精通、経営理念の理解」などが挙げられます。
そして後継者育成の課題解決こそが知的資産の承継支援であり、
知的資産の承継支援を行うことが「事業承継MAS」です。
 
「後継者育成の課題解決=知的資産の承継支援=事業承継MAS」
 

3.事業承継MASの成功モデルとは

事業承継MASの成功モデル事務所として
 
【実績1】
MAS事業売上:8,000万円
【実績2】
直近のMAS新規受注15件中7件が事業承継きっかけであり、40%以上が事業承継ニーズ有
【実績3】
MASを受注する際の単価の高さ「平均単価15万円以上」「単価アップ25万円→105万円へ」
  
の3つの実績を挙げています。
そして、その成功モデル事務所の取り組みを、
経営の全体像及び後継者育成の課題を組み合わせると、下記の図のように表せます。
 
 
 
「大衆」に向けた「概念」的な部分をサポート=セミナー・後継者塾
「個別」で「実践」をサポート =MAS(中期経営計画+単年度計画+モニタリング)
 
というモデルです。この全体像が事業承継MASです。
 
そして、事業承継の課題を抱える中小企業にアプローチするためには、
マーケティング戦略を立てることが必要です。
そのマーケティング戦略の全体像としては、
 

 
「商品設計×集客設計×クロージング設計」を行い、
事業承継の課題を抱える中小企業へのアプローチを行います。
 
いかがでしたでしょうか。
これからの税理士業界は、外部環境の変化により高付加価値業務へのシフトは必須であり、
その一つとしてMAS事業の立ち上げ・拡大をすることが必要です。
 
そして、これから中小企業のより大きな経営課題となるのが「事業承継」です。
事業承継における課題解決を行うためにも「事業承継MAS」の推進をオススメします。
 
※次回のコラムで具体的なマーケティング戦略を取り上げます
 
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)

役職:チームリーダー 幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。 大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。 在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。 その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。 船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。

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