皆さん、こんにちは。
船井総合研究所の吉冨でございます。
ジャパネットたかたのCMをご覧になったことのない方はいないかと思いますが、ジャパネットたかた創業者の高田明氏は同社が扱う製品に対してこう言っています。
「わたしはカメラを売っているのではありません。カメラを通して残す思い出を売っているのです。」
電気小売業は日本全国にごまんとありますが、そのなかでも長崎県の佐世保市という地方都市から同社をスタートし、今や電気小売業における日本を代表する会社のひとつとなりました。
扱い製品は他の小売店でも扱う電気機器でしたが、高田明氏は単に製品の性能を紹介するのではなく、その製品を通してどのような価値を体験できるのかを説いてきました。
近年、供給が需要を上回り、多くのモノがコモディティ化するなかで、製品やサービスを選ぶうえでの判断基準が「価格」となる傾向にありますが、そのなかで注目されているキーワードに「モノ消費からコト消費」という言葉が挙げられます。
その定義はいくつかありますが、一般的には
モノ消費は「商品・サービスの機能に価値を感じて使うこと」
コト消費は「商品・サービスによって得られる経験に価値を感じて使うこと」
と言われており、コモディティ化が進んでいる現代においては後者の価値が見直されています。
「カスタマーエクスペリエンス」や「顧客価値創造経営」といったキーワードも世間を賑わせていますが、まさに「コト消費」に関連するキーワードであり、共有側にとって求められる発想だと言えます。
ジャパネットたかたの高田明氏はまさに「モノ消費」の時代から先駆けて「コト消費」を体現してきたと言えますが、これは今後の弁護士業界においても同じだと言えます。
2020年現在、弁護士は40,000人を超え、インハウスロイヤーは2,400名まで増えています。過払いブームが収束し、交通事故については飲酒運転の罰則強化、自動ブレーキの発達と義務化に伴い、今後も減少することが想定されます。多くの弁護士業務において、供給が需要を上回る状況が続くことが考えられますが、そのような状況において弁護士業務の「コト消費」という考えが重要になります。
たとえば、弁護士の顧問業務において、これまでは紛争処理型で問題が発生したときに弁護士サービスが活用されていましたが、今後、紛争を回避し、コンプライアンス体制の構築を急ぐ企業が増えるなかでは、紛争やトラブルを未然に防止する予防法務、法律を駆使して企業経営をサポートする戦略法務の在り方が問われてきます。
いわば、弁護士サービスを通して、顧客価値を創造し、紛争やトラブルが未然に防止するという新しい体験を創造するということが弁護士業務(顧問業務)における「コト消費」であり、カスタマーエクスペリエンス、顧客価値創造と言えます。
船井総合研究所では新しい弁護士業務の価値創造やサービスの在り方を検討する取り組み(コンサルティングや研究会)を行っています。
是非、2020年という新時代に向けてともに価値共創をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。