2019年02月28日

フリーランスという働き方の光と影~事故編~

●労働人口の減少による労働力の不足
●長時間労働などワークライフバランスの欠如
●労働生産性の低下
●働き方の多様化

 
上記のような日本社会における課題認識から、
いよいよ働き方改革関連法案があと2ヶ月で施行されます。
 
2030年に600万人以上の労働人口が不足すると言われるなか、
女性、高齢者、外国人といったこれまで労働力として
積極活用する意識が十分に高まっていなかった層への雇用・働き方の改善や、
限られた労働人口の中で仕事をこなすための生産性向上に向けたIT活用の促進と同様に、
政府が力を入れているのが「フリーランスの活用」です。
 
フリーランスに対しては、実質的な減税対応となる税制改正が昨年実行されるなど
制度面での追い風・促進の動きがあるであったり、
あるいは社会的にもフリーランスという働き方を受容することで、
求人面で有利に応募獲得を進めようという企業なども出てきています。
 
フリーランスがより活用・活躍されやすい業種・職種として、
自分個人の裁量で与えられた仕事を実現し、
そのアウトプットをベースに報酬を得ていくような職種に多く、
例えば、デザイナーやシステムエンジニアの方などにおいて
魅力的かつ実現可能な働き方として捉えられています。
 
この「フリーランス」を活用し、今、働く人もサービスも拡大していっているのが、
米国で配車サービスとして始まった「Uber」社が展開する配食サービス「Uber Eats」です。
 
2016年から日本で展開を始め、翌年の1周年のタイミングでは
「配達パートナー」5,000人が実際に配達を行ったという報告がされました
(その後2周年目の段階では配達パートナーの拡大状況については言及なし)。
 
今、私のお付き合い先の法律事務所には、
このUber Eatsの配達パートナーの方の「事故」の相談というのが、
事件として持ち込まれるようになってきたということです。
 
フリーランスという、自由度の高い魅力的な働き方である一方、
事業主に雇用される「正社員」や「アルバイト」という形ではなく、
「個人事業主」という、企業による雇用とは切り離された、
全て自己責任という働き方である、ということで、雇用形態が異なることにより、
事故時の扱いというのも大きく異なってしまうという現実があるのです。
 
例えば、本来であれば、配達時に事故に遭ってしまった場合、
いわゆる「通勤災害」に該当する可能性が高く、
労災保険はすべての事業者が加入を義務付けられていることから、
治療費や万が一後遺症が残ったとしても国からお金が出るわけですが、
個人事業主、しかも、個人事業主でも一人親方など補償対象として規定されていない、
新しいフリーランス個人事業主となると、
既存の補償の枠組みでは、全て自己負担というのか現実です。
 
働き方、働く人が多様化する中で、補償の間に抜け落ちてしまう方々が増えつつある今、
また社会の要請により制度や法律自体が変化する必要がある今、
弁護士や社労士の先生方が今後の実務に活かす上でも知っておいていただきたい、
「事故型労災」業務に関する弊社セミナーは3月16日、23日の開催です。
 
詳細はこちらからご覧いただけます。
https://www.funaisoken.co.jp/files/pdf_seminar_041528_01.pdf
 
 
働き方、働く人の多様化に応じて、
実務面のアップデートをかける機会として頂ければ幸いです。

【この記事を書いたコンサルタント】

チーフ経営コンサルタント 堀本 悠(ほりもと はるか)

2012年 国際基督教大学教養学部国際関係学科 卒業、船井総合研究所 入社。法律事務所向けのコンサルティンググループに所属して3年でチームリーダー昇格。 法律事務所向けコンサルティングとして、特に小規模商圏から中・大規模商圏における集客活動、事務所規模では開業前から10名規模に至るような法律事務所の組織作りにおいて実績がある。 集客活動では、WEB・紙媒体双方の活用や、組織作りでは、経営方針発表会のプロデュースから評価制度の構築などを行ってきた実績を持つ。

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