20年後のリーガルサービスとは・・・
アドバイスサービスから「情報」サービスへ
1対1のサービスから「1対大勢」のサービスへ
対応するサービスから「先に動く」サービスへ
タイムチャージサービスから「商品の固定価格」サービスへ
制限するサービスから「エンパワーする」サービスへ
守備的なアドバイスから「実用的」なアドバイスへ
法律中心のサービスから「ビジネス中心」サービスへ
これは、リチャード・サスカインドという英国の学者であり
講演家、著作家が、1996年に「Tomorrow’s Lawyers」という本の第一版にて予期した
20年後のリーガルサービスの有り様が書かれた箇所の抜粋です。
実際に、法律事務所業界の変化として言い得ているものが
多く有ると感じる方が多いのではないでしょうか。
こうした変化を引き起こすのに一番大きな要因となっているのがITの普及です。
当時は未だインターネットさえも誰でもどこでも使える便利なツール、
というわけではありませんでした。
IT化が促進されたことで、
・法的助言やノウハウが情報として集約され再利用が繰り返されている
・法律という境界以上に、ビジネスや問題解決に必要な周辺領域など
他分野にまたがる形でのオンライン上の情報提供がより進んでいく
といった現象が指摘されています。
確かに日本においても、ネット上に様々な法律解説・助言のプラットフォームができ、
個別の弁護士やその他専門家からの情報が集約・蓄積され、弁護士が身近になっていると言えます。
また、マーケティングのいち手法として、
オンラインを介して弁護士に相談する方法というのは非常に多様化しており、
オンライン上のお問合せフォームなどは当たり前で、
更にリアルタイムで事務所ないしは
オペレーターと繋がりやり取りができるチャット機能を備えていたり、
リアルタイムで更新される相談枠の空き状況に応じて美容院やレストランのように
ご自身で予約が入れられる、という仕組みを導入しているケースも有ります。
IT化・デジタル化は、顧客と法律事務所の間のサービスの形や
コミュニケーション手段を変えただけでなく、
法律事務所や法務部がデジタルと近づくことにより、
新たな役割・仕事が創出されています。
オンラインのリーガルガイドシステムや文書の自動化の部分を管理するような存在が、
事務所内に現れることを予測していました。
そして、こうした動きを最も強力に牽引するのが電子政府やeコートといった公的機関のIT化です。
まずは資料のデジタル化から、とも言われますので、
本格的な変化の波に取り残されないためにも、
事務所内の紙の資料のスキャン
(その際に、読み込んだ文字列を認識できるOCR機能での読み込みを推奨)を行い
電子的に自社のローカルサーバーやクラウドサーバーに保管を進める事務所も徐々に現れてきました。
サスカインド氏が2017年に「Tomorro’s Lawyers」の第2版の中で、
「私が1996年に予期したことは少なくとも2020年代には全て実現されるだろう」
と改めて記していますが、まだまだ先と思っていることも、
あっという間に常識になり、取り残されていることに気がつくことはよくあります。
「変化に適合できたものが生き残る」、
ダーウィンの進化論の原理原則を心に留めて過ごしたいものです。
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2019年03月14日