皆さまこんにちは。
法律事務所コンサルティンググループの阿部です。
私が担当している法律事務所業界では、
先月初めて弁護士数が4万人を超えたというニュースがありました。
ピーク時から比べると増員ペースは緩やかになっていますが、
ここ10年間で約1.5倍の弁護士数になっています。
国内の趨勢は何と言っても「人口減少」ですので、
先生方がどれだけサービスの関与率(利用率)を高めたり、
職域を広げたりしても、競争環境が厳しくなるのは確実です。
これは、法律事務所業界だけでなく、他の業界にも共通しているのではないでしょうか。
士業のサービスは、他の産業から比べると少し遅れていますが、
ライフサイクルで捉えると、成熟期に入っています。
成熟期は、需要に対して供給が大きく上回る状況ですので、
価格競争が起こり、販促での差別化が困難になっていきます。
経営という観点では、以前と比べ難しくなっているのが実態です。
そのような状況下でも、事務所を確実に成長させ、
永続性のあるものとしている4つの経営スタイルについて整理いたします。
1 |
2 |
3 |
4 |
1)地域密着型
商圏を絞り、その商圏内の顧客に対して最も貢献できている状態を目指すのが、
この地域密着型の基本戦略です。
おそらく、船井総研のお付き合い先の多くが、この地域密着型の事務所を志向し、
努力をされていらっしゃると思います。
地域密着型の場合、顧客との関係性を強固にすることによって、
安定的に経営ができるというメリットがありますが、
似たような形態の事務所が多いため、サービスでの差別化が重要となります。
2)全国展開型
商圏を拡大することにより、一定の顧客数を確保し続けるというのが、
全国展開型事務所の特徴です。
マネジメントは難しくなりますが、複数支店を展開することでマーケティング効率が上がります。
一方で、マーケティングコストが高まったり、人材が確保できなかったりという問題が生じると、
利益が残りにくくなり、経営が難しくなっていきます。
3)海外展開型
サービスの提供範囲を海外の顧客にも広げ、市場を開拓していく経営スタイルです。
日本企業の海外進出だけでなく、海外企業の日本進出のマーケットもあります。
まだまだサービスを提供できる事業者が多くないため、
業界平均よりも高単価で仕事を受けられる傾向にあります。
4)高付加価値提供型
既存業務に加え、その周辺のニーズ・お困りごとに対して、
他事務所が提供できない範囲・レベルでサービスを提供できているのが特徴です。
今でこそある程度普及していますが、法律事務所業界においては、
交通事故分野における後遺障害の認定サポート
(事故直後から相談を受け、治療や通院に関するアドバイスを行い、
怪我の回復や適切な後遺障害等級の獲得を補助するもの)はその代表です。
高付加価値=競合事務所が真似出来ないサービスですので、
どれだけ市場が成熟したとしてもニーズはなくならず、
価格競争に巻き込まれることなく経営ができます。
以上、4つの経営スタイルについて整理をさせていただきましたが、
皆さまに考えていただきたいのが、
いかにして「4)高付加価値提供型」にシフトしていくかという視点です。
特に、競争環境が厳しくなると見込まれる「1)地域密着型」の事務所ほど、
他事務所が真似出来ない技術・ノウハウを磨いていただき、
サービスを進化させていっていただきたいということです。
それが実現できれば、どれだけ市場が成熟しても、生き残りどころか、
事務所を大きく発展していけることは間違いありません。
今一度、事務所の経営スタイルについて、見直しをしていただきたいと思います。
船井総研士業グループ お問い合わせフォーム