2018年05月29日

人口減少社会で生き残るために取るべき戦略

皆様、こんにちは。船井総合研究所の岡田弘毅です。
本日は「人口減少社会で生き残るために取るべき戦略」と題して、
コラムをお伝えさせて頂きます。
 
皆様もご存知の通り、日本国は2010年をピークに年々人口減少が進んでいます。
とは言え、日々生活を送っている中で、人口減少を体感されることは少ないと思います。
そのため、人口が減少しても特段何か特別な取組をしようという方は少ないのではないでしょうか?
 
私自身、2010年から8年間、特段何か人口減少だからといって、
生活の仕方を変えたわけではなく、あまり実感として人口減少を感じることはありませんでした。
しかし、数字で見ると、非常に大きなインパクトがあるという現実を目の当たりにします。
 
「未来の年表」という昨年非常に売れた書籍をお読みになられた方は
お分かりになられていると思いますが、実は数字でみてみると、
年々人口が減少しているということがよく分かります。
人口が減少するということは、平たく言えば、
商売においてお客様が減っていくということを意味します。
 
ちなみに、この未来の年表は完結によくまとめられた本で、
1時間程度で読了できると思いますので、
まだお読みになられていない先生方は一読されることをお勧めします。
 

 
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
出版社:講談社現代新書
著者:河合雅司
 
また、人口問題研究所においては、各都道府県、市区町村単位で、
今後100年間程度の人口推移予測のレポートが公開されています。
まだ、ご自身の拠点や商圏における人口推移をご覧になられていない先生がいらっしゃれば、
ぜひこちらも合わせてご覧頂くことをお勧めします。
 
船井総研では、独自の売上公式を用いており、
その要素の1つに「商圏人口」という要素があるのですが、
この数字が年々減少するわけですから、売上にも直接的に影響するということがよく分かります。
 

●船井流の売上公式

売上 = マーケットサイズ × 商圏人口 × シェア
                  ↑
             ここが年々減少していく
 
※マーケットサイズ:国民一人当たりの年間消費額 = 市場規模(年間消費額)÷ 日本の人口
※シェア:市場占有率
 
この公式で言えば、売上を伸ばしていく、維持ししていくためには、
「マーケットサイズ」か「シェア」のいずれかを増やすことが必要になります。
船井総研のコンサルティング手法で言えば、
王道はまずは「シェア」を高めていくことを優先していくのですが、
実は人口減少のペースがシェアを高めるだけでは
十分に補えないペースで人口減少が起きてしまうことも考えられるのです。
 
つまり、人口減少に対応していくためには、
「マーケットサイズ」を増やす取組みをしていくことが必須になるのです。
それでは、マーケットサイズを増やすというのは、どういうことなのでしょうか?
 
マーケットサイズを増やすということには、2つのパターンが考えられます。
 

●マーケットサイズが増える2つのパターン

①市場自体が拡大している
②対象となる市場に新たな市場が付加される
 
①は例えば、今後、クラウド産業がさらに発展していく可能性が高いのですが、
このような成長産業の場合起こるものと考えられます。
また②は、例えば、最近書店において、カフェ併設型の施設が増えてきていると思いますが、
このような新しい市場を加えていくケースが考えられます。
 
いずれの場合も、マーケットサイズが増えると売上が高まりやすくなるという特徴があります。
しかし、当然②の方がハードルは高いものです。
新しい業態にチャレンジする、新しい市場を取り組んでいくということは、
そんなに簡単なことではありません。
つまり、①の「市場自体が拡大している」というパターンで、
マーケットサイズを増やすことを考えていくことが、売上を伸ばしていく、
維持していくために重要になるのです。
 
ここで大切になる考え方が「時流適応」という考え方になります。
当然、皆様にも既存に取り組まれている仕事はあると思いますが、
①の市場自体が拡大している仕事に取り組まなければ、
売上は自然減していく可能性が出てくるのです。
その時、市場自体が拡大している仕事に取り組んでいくことが、
経営における「時流適応」ということになります。
このような拡大している市場を皆様の業界において見つけていくこと、
また関わっていくことが、人口減少社会における生き残るための戦略になるのです。
 
実は、この考え方は、船井総研自身がやっていることでもあります。
船井総研自身は、創業者の船井幸雄が「流通小売業」を中心とした
コンサルティングを行う会社として設立されましたが、流通小売業が成熟してくると、
船井総研では「サービス業」のコンサルティングに軸足を移し、
今ではサービス業中心のコンサルティング会社になってきています。
 
皆様の業界における成長市場の例としては、例えば、私も積極的に関与していますが、
「相続・生前対策」に関するマーケット、また、予防法務に関するマーケット、
クラウドやAIなど新たなテクノロジーを用いたマーケット、
そして、コンサルティングの要素を組み込んだマーケットなどが、
今後士業においてさらに成長していく市場であると言えます。
皆様は、きちんとこれらの市場に種を蒔かれておりますでしょうか?
 
経営環境は日に日に変化をしております。しかし、この変化に適応し、
生き残るための準備をするのもしないのもの、経営者である先生方次第と言えます。
ぜひ、このコラムをお読みになられている先生方におかれましては、
組織を永続させていくためにも、「市場が拡大している仕事」に着目して頂き、
5年後、10年後を見据えた種まきに今から取り組んで頂けますと幸いです。
 
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 岡田 弘毅(おかだ ひろき)

広島県呉市出身。北陸先端科学技術大学院大学を修了後、船井総合研究所に入社。 入社後、士業専門のコンサルティングチームに所属し、 現在は法律事務所専門にコンサルティングに従事している。 現在、約30の法律事務所のコンサルティングに従事し、 日々クライアントの経営課題に対して実践的な課題解決の提案をしている。 お付き合い先は北海道から沖縄まで全国に幅広く、全国のお客様の業績アップに尽力している。 特に地方商圏を拠点に構える事務所とのお付き合いが多く、 地方商圏の特性に合わせ、地域密着型のマーケティング手法を用いたコンサルティングに明るい。 「長所伸展」をモットーに、開業支援・活性化支援ともに事務所の長所、弁護士の先生の個性を活かしたマーケティングの展開に取り組み、業績を向上させている。 最近は、弁護士業界専門のコンサルティングチームの相続分野の責任者として、 弁護士の先生方の相続・遺言に関する業務改革の推進に邁進している。

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