2019年03月14日

事務所の “成長の踊り場” を作らない!「組織化のステップ」を踏み120%成長を実現する方法とは?

こんにちは!船井総合研究所の稲冨です。
早速ですが、今回のコラムの「QとA」です。
 
Q:なぜ組織化のステップを踏む必要があるのでしょうか?
A:事務所の“成長の踊り場”を作らずに120%成長を実現するためです。
 
今回のコラムでは、“成長の踊り場”を作らないための「組織化のステップ」について
研究をしていければと思います。
 

1.“成長の踊り場”がある事務所の特長とは?

よくあるケースとしては、組織化が必要なタイミングで組織化ができておらず、
一定規模で事務所の成長が止まってしまうことです。
 
会計事務所の場合は、売上1億円~1.5億円の間で
成長が3年~5年、止まっているケースが多いです。
それではなぜ、成長の踊り場ができるのでしょうか?
“成長の踊り場”がある事務所の特長は、
 
□ 全てにおいて“トップ(代表)が動かないと”売上が上がらない事務所
□ “目の前の業務だけ”を追っている事務所 ※中期的に振り返る機会があるか
□ 明確な“経営方針”がなく、社員が方向性を理解していない事務所
□ マーケティングは積極的に行っているが、内部の組織作り・仕組み作りを行っていない事務所
□ “社員の離職”が頻繁に発生する事務所(離職率10%以上)
□ 社員を“育成する仕組み”がない事務所
□ “時間当たり生産性”を活用する仕組みがない事務所
  
の7つです。
もしどれか一つでも当てはまる事務所は、
“成長の踊り場”がある事務所の可能性が非常に高いのではないでしょうか。
 
具体的なケースとしては、【ピラミッド型組織 風 文鎮型組織】です。
 
ピラミッド型組織のようではあるが、管理職は名ばかりであり、
代表が全社員に対して指示・指導を行っており、上下の区別がない事務所です。
 
これでは、何のために管理職がいるのか?という疑問が生じてしまいます。
そして、代表から一般社員への直接の指示や指導は、
“受ける側”の社員は精神的に追い詰められるケースがあり、
離職が多く発生する要因にもなり、最終的に離職者が増加し、
組織マネジメントがうまくいかなくなります。
 
これまでのコンサルティングの現場でもこういったケースは非常に多いです。
このような事務所にならないためにはどのように組織化をすればいいのか?
次は「組織化のステップ」についてお伝えしていきます。
 

2.なぜ組織化が必要なのか?「組織化のステップ」を理解する!

前段でもお伝えしましたが、なぜ組織化が必要なのか?
それは“成長の踊り場”を作らずに「継続的かつ安定的」に成長していくためです。
 
“成長の踊り場”がある事務所は、年度内の自然発生的なスポット案件の有無で
微減微増を繰り返していることだと思います。
そのためにも「組織化のステップ」を踏んでいく必要です。
 
組織化ができている事務所の成功事例としては
 

 
         
 
   
 
 
 
と戦略的に120%以上の成長が実現できています。
 
このような成功事例より、組織化を体系的にまとめると
 

 
という定義ができます。
 
 
<組織化0.0>
“成長の踊り場”です。トップが単独で、マネジメントできる範囲は決まっているため、
社員数10名~15名程度で「代表⇔社員」のコミュニケーションが機能せず、
離職率10%以上となり、採用⇒離職⇒採用⇒離職・・・と追われてしまい、
これが1年・・・3年・・・5年と続いてしまいます。
 
<組織化1.0>
経営計画・アクションプランを社員に落とそうとすると、
方針や指示は管理職から一般社員まで伝わるようになるため、
社員数20名~25名規模までは順調に育つのではないでしょうか。
 
ただ、この状態から組織化2.0までステップを踏まなければ、
管理職からの改善や提案などはなく、
代表一人の力で事務所の成長が決まってしまうため、限界がきてしまいます。
 
<組織化2.0>
代表と管理職の双方向で改善提案や情報共有が発生するようになるため、
より鮮度の良い現場の情報が入ってきており、
毎日「改善」が起こり、成長率が高い事務所です。
 
また、一般社員においても自身が提案したことが、
取り入れられる「事務所の器」になっているため、事務所が活性化されている状態です。
この状態の場合は、“成長の踊り場”はなく、
継続的かつ安定的に成長している事務所になっていることでしょう。
 
<組織化3.0>
トップは方針だけ決め、あとは管理職のみで
部門別のアクションプランなど戦略を構築することができます。
 
この状態になると経営者が外部環境の調査の機会など
「情報の仕入れ」に費やせる時間が増えるため、経営方針を練る時間が増えます。
 
さらに経営方針が決定した後にも 
代表⇔管理職⇔一般社員と情報の共有が円滑にできるため、
加速度的に事務所が成長をしていきます。
 
簡易的ですが、上記が「組織化のステップ」と言えます。皆さまの事務所は
“今” 組織化のどの段階でしょうか?
ぜひ一度自社の現状の組織化レベルを確認していただければと思います。
 
実際に組織化をしていくためには、何をしていけばいいのでしょうか?
最後に「組織化0.0→組織化1.0」を実現するための
具体的なマネジメント戦略についてお伝えできればと思います。
 

3.売上成長率120%を実現するための「組織化のステップ」とは?

組織化のスパンですが、
 

 
成功事 例事務所は上記のスパンで組織化が実現できています。
 
今回は【組織化0.0→組織化1.0】を実現するための
実施すべきことをチェックリスト形式でお伝えします。
 
まず前提として組織化をするためには、経営計画は必須です。
あくまで経営計画自体が重要なのではなく、
“事務所の方向性”を“社員に”示すためかつ理解してもらうために必要なのです。
 
それを踏まえた上で、
 
□ 中期経営計画を策定しているのか? ※数値計画ではなく、具体的な3年のアクションプラン
□ 代表の考えに共感してくれる管理職が社員の2割以上いるか? ※なぜ事務所を拡大するのか?など
□ 売上を上げるための事業・マーケティング戦略が確立しているか? ※自然発生はNG
□ 計画的に採用をする仕組みが確立しているか? ※離職率を考慮した計画採用
□ 社員のキャリアパスを示すための人事評価制度を構築しているか? ※育成のための人事評価制度
□ 管理職の役割や権限を見える化しているか? ※口頭ではなく文章で
□ 未経験者を1年で戦力化する人材育成の仕組みを確立しているか? ※研修の仕組みだけはNG
□ 情報共有の仕組みが確立しているのか? ※会議の仕組み・IT活用 など
□ 直接部門と間接部門の整理ができているか? ※総務機能 など
□ 時間当たり生産性を把握する仕組みができているか? ※一人当たりではなく「時間当たり」
 
以上の10個が【組織化0.0→組織化1.0】実現する際に実施すべきことです。
上記はこれから組織化を実現していくためには最低限実施すべきことです。
そして組織化1.0の段階で仕組みを作ることで事務所は飛躍的に成長していきます。
 
 
いかがでしたでしょうか。
以前にお伝えした通り、今後の事務所の成長・発展は「組織化」で決まります。
今後事務所を拡大していく場合には、
“成長の踊り場“を作らないように「組織化ステップ」を踏み、
より継続的かつ安定的に成長をしていく事務所作りをオススメします。
 
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)

役職:チームリーダー 幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。 大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。 在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。 その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。 船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。

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