フロー型のビジネスモデルは限界?ストック型ビジネスモデルへ転換を
政府が発表した2015年の人口推計データでは、数都県を除き、人口が減少している発表されました。
特に地方都市の減少が著しい状況です。
様々な業種で人口減少に向けて対策が取られている状況です。
士業事務所の経営を考える上でもその対策を講じる必要があります。
人口が減少するような状況下の中では、一度でも接触の会ったクライアントとできる限り継続的に長くお付き合いをするということが重要となりますので、「ストック型ビジネスモデル」への変換が有効な戦略となります。
継続的に深い関係を構築することで、クライアントに対する理解を深め、より最適なサービスを提供することが可能になりますし、同時に新しいサービスが創出することも可能となります。
(既存市場が減少しているという状況を鑑みた上でも新サービス開発は重要になります。)
例えば、私が専門としている法律事務所業界の業界団体である日本弁護士連合会が2008年に実施した弁護士実勢(弁護士センサス)調査において興味深いデータが出ています。
「顧問契約先を持っている場合の顧問契約を結んでいる取引先件数は?」という質問に対する回答結果ですが、5件未満32.7%、5~10件未満21.2%、10~15件未満14.6%、15~20件未満8.3%となっており、全体の76.8%と8割近い法律事務所の顧問先数が20件以下という結果となりました。
近年、顧問先を増やす法律事務所が増加しているため、数値は変動していると考えられますが、関与率はまだまだ低く、人口が少ない地方程、関与率が低い傾向があります。
勿論、士業の中では、法律事務所業界が最も顧問化の流れが遅いため、他士業とは違う部分はございますが、都心部の競争と比較するとまだまだ開拓の余地は十分にあります。
「地方都市には顧問弁護士を雇うような企業は少ない」「顧問弁護士や社労士を雇うような企業には既にいるケースが多い」「会計事務所が入っていない企業はほとんどない」と話される先生方は多いですが、地方都市であっても、数多くの顧問先を開拓されている法律事務所や士業は少なくありません。
開業1年目からお付き合いをさせて頂いている鹿児島市の弁護士法人グレイス様は、開業から8年で約300社の顧問先を開拓されました。
弁護士法人グレイスの代表弁護士の古手川先生は、2009 年に地縁も全く無い鹿児島市で開業したにも関わらず、スポット案件を顧問化する方法や御用聞き担当を設置する等、様々な工夫を行い、顧問先を開拓され、今では地域でも有名な企業から顧問契約を打診される等、地域でもトップクラスの顧問先件数と実績を残されています。
顧問先を開拓したことで得られた特に大きなメリットとしては、①経営が安定する、②紹介案件が増加する、③事務所の信頼度が上がる、④良い人財が採用できる、⑤専門性が深まる、⑥やりたい仕事が増えるといった事柄があったそうです。
社労士業界や会計業界でも年間100件以上の顧問を獲得された事例はございます。
スポット案件・フロー案件を獲得する上でも顧問獲得を中心としたストック型ビジネスモデルへの転換・強化を進めましょう。
法律事務所の経営に関して、更に深堀をして勉強をされたい方で、個人向けの事案獲得・業務に関する研究をされたい方は、法律事務所経営研究会へご参加ください。
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