2019年01月24日

なぜ“業務”特化が重要なのか?企業法務分野における特化戦略の考え方

船井総合研究所 企業法務チームの吉冨でございます。
今日は企業法務分野における「業務特化の必要性」についてお話ししたいと思います。
 
2016年3月に企業法務研究会を発足し、
現在は全国から80を超える法律事務所の先生方にご参加いただいています。
 
一昨年の段階では、経営者との接点を如何に作ることができるか、
云わば「販促活動」に関する議論や検討が多かったですが、最近の傾向としては、
接点を構築後の顧問契約に関する成否に関する議論が多くなっていると感じます。
 
実際、経営者との接点を構築してから、ほぼ100%に近い確率で
顧問契約を獲得できている先生もいらっしゃれば、まったく逆のケースもあり、
今後は接点構築後の契約率や提案方法の精度を上げていく必要性を感じます。
 
契約率を上げるにあたっては、接点を構築後即座に顧問契約の提案をすることは
経営者にとってハードルが高いため、
まずは顧問契約に繋げる手前のフロント商品や提案が重要となります。
 
具体的には、「業務」に特化した販促活動を行い、
そこで集客できた経営者に対して、
その「業務」特有の商材を提案するということです。
 
例えば、広告規制が強化された医療業界や美容業界に留まらず、
小売業や飲食業など個人客を相手にする業界では
「景表法」に関する意識の高まりも出てきており、
一部の法律事務所では「BtoC」のビジネスモデルを展開する業種に対する
「広告宣伝・景表法」に関するセミナーを開催しています。
 
「景表法」や「広告規制」といった「業務」をテーマにする場合、参加する企業に対して、
 
・ビジネスモデルの適法性チェック
・広告チェック

 
などをフロント商品として提案することができ、チェックすると大抵の場合において、
大幅な見直しが迫られるため、そこを手始めに
「包括的に顧問契約の範囲で見直すという提案」=「顧問契約」に繋げることができます。
 
これまで多くの法律事務所では、「契約書作成」や「債権回収」、
「労務問題(問題社員対応や残業代請求対応)」といった、
どの業種でも横断的にニーズのある業務に関するセミナーを開催していました。
 
しかし、テーマ的に目新しいものではなく、
多くの法律事務所や弁護士以外でもセミナーを開催しているものが多いため、今後は法改正や、
実際の緊急性の高い法務ニーズに合わせたテーマに関する販促活動を行うことが、
より成果を上げるために重要となってきます。
 
「景品表示法」や「クレーム対応」などがその最たる例ですが、
少し前は「働き方改革」や「ハマキョウレックス・長澤運輸事件最高裁判決」、
今後は「情報セキュリティ」や「民法改正(債権法・相続法)」も
企業の大きな関心事になり得ます。
 
今後、セミナー開催やホームページで記事を作成するにあたっては、
法改正や時流に沿った特定の業務や業法に合わせた取り組みをされてみてはいかがでしょうか。
 
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

チーフ経営コンサルタント 吉冨 国彦(よしとみ くにひこ)

船井総合研究所 入社後法律事務所コンサルティンググループに配属。 法律事務所の企業法務・顧問案件の獲得を専門領域として担当している。 顧問先の開拓に成功している数多くの法律事務所の事例を把握しており、 特にこれから企業法務分野を強化する予定の法律事務所におけるマーケティング戦略を得意としている。 商工会議所での講師依頼獲得実績や、士業事務所向け営業セミナーでの講演実績などがある。 前職では大手教育企業において、留学営業部で営業部長を務める。 約30名のメンバーを統括し、事業計画の策定や新商品開発・マーケティング戦略に従事。 グループの首都圏採用の面接官を努め人材採用から育成、定着に関する経験を持つ。

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