2019年04月04日

「弁護士」と「スマホ」

米Apple社からiphoneが発表され早くも10年以上が経ち、
スマートフォン(以降「スマホ」)は高度情報化社会の根幹を担って久しい状況となりました。
 

1.情報探索の主役が交代

かつて情報探索において押しも押されぬ主役であったPCに取って代わり、
今日のインターネット閲覧のおよそ8割をスマホが占めています。
 
1日のスマホ使用時間は計3時間を優に超えるなど、
私たちの生活に欠かせないデバイスとなっています。
※Intage i-SSP Jan 2017 data (figures are median values)
 
こうした変化を受けて、情報検索の機能も確実に変貌を遂げています。
検索の圧倒的トップシェアを誇るGoogleでは、
自然検索における掲載順位を決める評価の対象をPCからスマホに切替える
「モバイル・ファースト・インデックス」への移行を既に終え、
多くの業種・業界において大きな順位の変動が見られました。
 
当然のことながら、弁護士業界も例外ではありません。
スマホに対する最適化がなされていないWEBサイトが、
検索結果の上部から早くも姿を消し始めている現状があります。
 

2.スマホ台頭の功罪と、弁護士業界への影響

スマホは私たちの生活に多大な恩恵をもたらす一方で、
至便ゆえの悪影響が及んでいることもまた事実であり、
それが法律業界における「ニーズ」を生んでいるという実態があります。
 
2-1.「盗撮」「児童買春」「児童ポルノ製造・所持」・・刑事事件の増加
今や「一人に一台」というレベルで広く普及したスマホですが、
これに搭載されるカメラも同時に広く行き渡ることとなりました。
その性能の高さや、撮影の手軽さから、
駅構内や商業施設等々における盗撮事件の検挙が大幅に増加しています。
 
また、日々開発されるアプリケーション(以降「アプリ」)の中で、
「出会い系」や「画像共有系」と呼ばれるアプリは
児童買春や児童ポルノの製造・所持の温床となっている側面もあり、
これに関する問い合わせがここ数年で爆発的に増加し、
受任に繋げている法律事務所が多く存在します。
 
2-2.運転中のスマホ操作・注視による交通事故の増加
自動車や自転車の運転中にスマホを
操作・注視していたことによる事故は年々増加しています。
 

 
(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html)
 
2018年には、高速道路上で大型トラックを運転中にスマホの使用が原因で
前方の車列に追突し4人を死傷させた事件について、
求刑(禁錮2年)を大幅に上回る禁錮2年8か月の実刑判決を言い渡されたニュースも、
記憶に新しいかと思います。
 
2-3.マッチングアプリの普及による不貞慰謝料請求の増加
異性ユーザーとの交遊を促進する、所謂「マッチングアプリ」のヒットもまた、
実は弁護士業界に関わりの深い事象です。
 
職場や知人を介した出会いとは異なり、
既婚者であることを伏せて交遊を持つことが可能となるこういったアプリが
不貞行為を媒介するが発生するケースは、枚挙にいとまがありません。
不貞行為の慰謝料請求(被請求側の減額を含む)に特化し、
高い生産性を誇る法律事務所も多く見られるようになりました。
 

3.時流適応

法律事務所の市場を動かすのは、法改正だけではありません。
スマホの普及のように、社会や経済の仕組みを変えるような大きな波は
必ず「余波」、すなわち新たな市場の生成を伴います。
 
事件の減少や競合の激化を嘆く声が増えた平成の時代ですが、
潰えた市場ばかりではありません。
 
風和ぐ令月を迎えられるよう、時流に抗わず追い波に変える舵取りを一緒に考えていきましょう。
 
 
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【この記事を書いたコンサルタント】

マーケティングコンサルタント 福島 淳平(ふくしま じゅんぺい)

大学時代には、法学部にて法学とマーケティング戦略を学ぶ。 マーケティング研究の全国大会にて優勝経験がある。 卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。 2015年から法律事務所向けのコンサルティングに従事。 年間200日以上は法律事事務所に出向き、コンサルティングを行っている。 WEBマーケティングに強みを持ち、専門サイトを活用した反響の最大化、広告戦略の最適化などで成果を上げている。 法律研レポートにおいては「リスティング広告」をテーマに執筆中。

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