2017年11月28日

第2回中小企業の弁護士ニーズ調査の考察①

皆さんこんにちは。船井総研の岡田弘毅です。本日は『中小企業の弁護士ニーズ調査』についてお話させて頂きます。

9月9日(土)に、第20回の業務改革シンポジウムが東大にて開催されました。今回の業革シンポでは、事務方の先生に確認したところ、約2,400名の方(弁護士2,000人、一般400人)が参加され、非常活気があるシンポジウムでした。

シンポジウムでは、9つの分科会がそれぞれのテーマに基づき、午前10時頃~午後18時頃まで白熱した議論が繰り広げられ、どの分科会も非常に盛り上がったようです。私も第8分科会(テーマ:事業承継)に参加しておりましたが、非常に熱心に議論が行われており、大変参考になりました。

本日はその当日にテキストと一緒に配布されていた「第2回中小企業の弁護士ニーズ調査」についてお話致します。2007年に「第1回中小企業の弁護士ニーズ調査」が行われ、実に10年ぶりとなる調査の報告書でしたが、今回も非常に興味深い調査結果が多数ありました。こちらの調査は、全国約1万5,000社にアンケートを送付し、そのうち返信があった4,000弱の企業の回答がもとになった調査結果です。

興味深かった調査結果をいくつかご紹介します。

表1:弁護士を利用したきっかけ(複数回答)

出所:第2回中小企業の弁護士ニーズ調査

Q1-1の回答をみると、最も弁護士の利用きっかっけになった要因は、46%を占めた「顧問弁護士」でした。次いで、「取引先や親会社、友人・知人からの紹介」が41%と多い結果となっています。ここで注目しなければならないのは、顧問弁護士以外で、主体的に弁護士を探そうとしている方は、少数派であるということです。

自分から情報を探そうとしている方、そうでない方に対しては、それぞれ異なった情報発信を行い、相談ニーズを喚起していかなければなりません。しかし、例えば、ホームページでの情報発信のように、弁護士活用を促進するためのマーケティング活動の中心が、依頼者自身で情報を探してもらわなければ、情報にアクセスができない形のものになっていることも多いです。

主体的に情報を探している人で言えば、上記表では「自治体・商工会議所等の法律相談で相談した」「インターネットで検索」「弁護士会の紹介制度を利用した」など、それぞれ数%しかありません。つまり、よりマーケティングの成果を最大化していこうと考える場合は、「取引先や親会社、友人・知人からの紹介」などで回答している、約40%の層にアプローチしていくことが実は重要ということがわかります。

また、Q1-2の質問「弁護士を決定した理由」からも、第三者からの紹介が、弁護士の決定において重要であることが分かります。専門性や人柄も重要ではありますが、1番の決めてではないようです。

表2:弁護士を決定した理由(複数回答)

つまり、中小企業経営者から依頼を増やしていくためのもっとも効率的なマーケティング手法とは、既存のお付き合い(ハウスリスト)を用いて、マーケティング活動に取り組んでいくことなのです。

このように、2つのアンケートを見ただけでも、今後中小企業経営者からの仕事を増やしていくためには、何がポイントになるのかが見えてきます。

こちらの調査は更に多岐にわたる調査結果が掲載されており、今回取り上げた2つ以外の回答項目においても、事務所のマーケティング戦略を考える上で、非常に参考になるポイントが多数あります。

もし、中小企業経営者からの業務を増やしたいという先生がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、第2回中小企業の弁護士ニーズ調査をご覧下さい。また後日、こちらの考察の続きをコラムに記載させていただこうと思いますが、こちらの調査に関して更に詳しくお話を知りたいという方は、弊社あるいは私、岡田までお問合わせ頂けますと幸いです。

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【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 岡田 弘毅(おかだ ひろき)

広島県呉市出身。北陸先端科学技術大学院大学を修了後、船井総合研究所に入社。 入社後、士業専門のコンサルティングチームに所属し、 現在は法律事務所専門にコンサルティングに従事している。 現在、約30の法律事務所のコンサルティングに従事し、 日々クライアントの経営課題に対して実践的な課題解決の提案をしている。 お付き合い先は北海道から沖縄まで全国に幅広く、全国のお客様の業績アップに尽力している。 特に地方商圏を拠点に構える事務所とのお付き合いが多く、 地方商圏の特性に合わせ、地域密着型のマーケティング手法を用いたコンサルティングに明るい。 「長所伸展」をモットーに、開業支援・活性化支援ともに事務所の長所、弁護士の先生の個性を活かしたマーケティングの展開に取り組み、業績を向上させている。 最近は、弁護士業界専門のコンサルティングチームの相続分野の責任者として、 弁護士の先生方の相続・遺言に関する業務改革の推進に邁進している。

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