こんにちは。船井総研の川上です。
コロナウイルスの影響で、私達の生活様式や働き方は2年分の変化が2カ月で起きたと言われています。また、今後は新たな常態・常識が登場し、構造的な変化がもたらされるニューノーマルな時代と言われています。今回は、そのニューノーマルな時代の法律事務所を考えた際に、今後発生するであろう3つの変化をご紹介させていただきます。
①商圏の変化
今回のコロナウイルスの影響で、法律事務所と相談者や依頼者とのコミュニケーショ手法は、これまでは直接会って話すオフラインが主流でしたが、テレビ電話などのオンラインがより積極的に活用されるようになりました。
また、司法のIT化はコロナウイルスと関係なく以前から進められていましたが、今回を機に、移動負担の軽減や業務効率の向上などの重要性を再確認した先生方は多かったようです。また、予定よりも前倒しでITを活用しようとする動きは加速しているようです。これらの状況に加え、弁護士の増員により弁護士がより身近になったことで、より専門的な知識・ノウハウがある弁護士へ相談したいというニーズを合わせて考えると、これまでの商圏の重要性が薄れていく可能性があります。これまでは、直接相談に行ける範囲で1番良い法律事務所へ相談していた方は、オンラインで相談できることで、より広い範囲から最適な法律事務所を選びやすくなることは容易に考えられます。
要するに、事務所所在地の優位性は薄まる中で、専門性を上手に伝えられる販促力のある事務所、相談者に支持されやすい高い商品力のある事務所、蓄積されたノウハウを使って効率よく事件対応できる事務所がより活躍しやすい時代がやってくるかもしれません。
②人材の流動性の拡大
コミュニケーションの変化は対相談者・依頼者だけでなく、所内でも在宅勤務の普及という点で大きな変化をもたらしました。法律事務所の在宅勤務は、課題が多いことも事実ですが、弁護士は全員在宅勤務を導入できた法律事務所は多く存在します。
また、コロナウイルス発生前から、分業としてパラリーガルとの協働やリサーチやサポート中心の弁護士同士での分業が進んでいましたが、今後もこの動きは加速していくはずです。加えて、弁護士の仕事に対する価値観や置かれている状況が多様化したことで、所属する法律事務所へ対するニーズも多様化しています(例えば、成長優先・バランス優先・子育て優先・介護優先など)。
これにより、①の商圏と同様にですが、弁護士もこれまでは、自宅から毎日通える範囲内で最適な法律事務所へ所属していましたが、在宅勤務が普及することでより広い範囲内で最適な法律事務所することが可能となります。
要するに、弁護士・事務局にとっても事務所の所在地の重要性が薄まる中で、より魅力的な案件が豊富な事務所、より条件の良い事務所、より魅力的な事務所文化や雰囲気を持っている事務所が良い人材を採用しやすくなる時代がやってくるかもしれません。
③DX投資による収益格差の拡大
コロナウイルスの影響で最も加速したのが、このオフラインからオンラインへ移行のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資ではないでしょうか。法律事務所でもオフラインのものをオンラインへ移行する基幹システムの整備だけなく、より高度なマーケティングオートメーションやYoutubeやSNSなどをより活用したメディアミックスなどを活用する動きが出てきています。
また資本のある事務所では、パラリーガルとの分業だけなく、AIやロボットを使っての分業やこれまでの各弁護士が蓄積してきたそれぞれの暗黙知を共有知にさせるナレッジマネジメントなどを活用して、収益性を大幅に向上させようとする動きが出て来ています。
要するに、資本のある事務所はよりDXへ投資し、より収益性が高まりやすく、投資ができない、または興味がない事務所との収益格差が広がる時代がやってくるかもしれません。
これらの変化はあくまで予測ですが、これらの変化を見据えた上で、今後のニューノーマル時代の法律事務所経営の優先度を考えておく必要があります。
その際に、是非ご活用いただきたい機会が、9月1日(火)&2日(水)の経営戦略セミナー&法律事務所視察クリニックです。
今回は両日ともオンライン開催のため、ご自宅や事務所から参加が可能です。
9月1日(火)は会員様向けの経営戦略セミナーの法律事務所分科会として、船井総研のコンサルタントが各テーマに基づいた最新動向をご紹介いたします。翌日の9月2日(水)は法律事務所視察クリニックとして、今回はニューノーマル時代を見据えて先進的な取り組みを行う事務所様を講師として迎え、取り組みをご紹介させていただきます。
私が主に担当しています法律事務所視察クリニックのゲスト講座の1つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の事務長兼CHROの斎藤由希子氏の講座について紹介させていただきます。
◆ゲスト講座①
●テーマ:大手法律事務所が取り組む最先端の事務職員の組織戦略と採用育成手法
●ゲスト講師:アンダーソン毛利友常法律事務所 事務長兼CHRO 斎藤由希子 氏
●講師紹介
インターネット黎明期から約20年間、IT業界の人事業務に従事。1999年にヤフー(株)に入社し 100人から7,000人規模の企業に急成長する中で採用、人財育成、組織開発、人事制度企画、技術部門人事、労務と幅広く担当。2014年の人財開発本部長就任後は新卒一括採用廃止やグローバル採用など多様な人財の採用と活動支援を推進。
2018年11月よりアンダーソン・毛利・友常法律事務所に勤務。事務長 兼 Chief Human Resources Officerとしてデジタルトランスフォーメーションや人事制度改革などの経営改革に参画。2018年3月東京理科大学大学院技術経営修士(Management of Technology)取得。九州大学招聘講師。
●講座内容(一部)
・大手法律事務所をめぐる環境変化
・求められるオペレーションの更なる合理化に向けた2つの解決策
・新たなサポートスタッフの誕生、専門人材の活用
・事務職員の組織戦略
・採用ブランディング戦略
・新人スタッフのOJTの仕組み化
・マネージャーの在り方の変化
●講座のポイント
・企業の第一線で活躍された斎藤様を事務長兼CHROとして大手法律事務所が迎えたアンダーソン毛利友常法律事務所。そこで斎藤様が取り組む事務職員の組織改革に対する考え方は、規模を問わず多くの法律事務所にて参考にしていただけます。
・特にオペレーション合理化に向けた取り組み、それに合わせた組織戦略と人材採用育成施策は、今後のあるべき事務職員体制を考える上で、是非聞いていただきたい講座です。
その他にも当日は以下の講座を予定しています。
●法律事務所が守るべきデジタルセキュリティ・情報管理
~八雲法律事務所 代表弁護士 八雲裕明氏~
●士業事務所におけるYoutube活用事例
~弁護士法人アコード 代表司法書士 近藤誠氏~
~弁護士法人咲くやこの花法律事務所 代表弁護士 西川暢春氏~
▼【法律事務所向け 新時代対応事務所化クリニック2020(9月2日(水)オンライン開催)】
詳細・お申し込みページを準備中ですので、追ってご案内します。
まずは上記日程にてご予定の確保をお願いいたします。