2016年03月14日

~名ばかり管理職に「管理職」の仕事を任せるためには?~

会計事務所コンサルティングチーム 稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)

皆さま、こんにちは船井総合研究所の稲冨です。

突然ですが、
皆さまの事務所で、部長や課長は何名いらっしゃるでしょうか?
そしてその内の何名が求める「管理職の業務」をしていますでしょうか?
答えは・・・

これまで多くの士業事務所の人事評価制度を構築してきましたが、
90%以上の事務所が「部長・課長」とはいうものの一般社員とやっていることはほぼ変わらない、
「名ばかり管理職」という実態がございました。

そこで今回は、名ばかり管理職に業務を任せるために必要なこと、
管理職を育成するための制度作りについて3つのポイントに分けてお伝えさせていただきます。

1.適性がない社員を管理職にしないこと

大前提として、管理職の適性がない方を(職人のような方)管理職として任命をしないことが重要です。
よくあることは

・新規顧客を所内で一番獲得できる
・難易度の高い専門的な業務ができる
・勤続年数が長い

など勤続年数・年齢やプレイヤーとしての能力が高いから
管理職として任命するケースです。

ただ多くの事務所様はここで苦労されている現状がございます。
プレイヤーの仕事しかできていないからです。

実際に代表に管理職に求める業務をヒアリングすると、

・部下の目標設定・達成をサポートする
・組織の業績面の目標を達成するために、部下の行動管理・計画の策定を行う
・確定申告などの業務進捗管理を行う
・業務日報や議事録などのチェックを行う
・決算書、申告書などのチェック・レビュー業務を行う

などの部下育成・管理やチェック・レビュー業務です。
プレイヤーと管理職に求める業務は全く違うため、
上記の管理職の業務ができる素養がある社員を管理職に任命することが重要です。

プレイヤーの仕事しかしない管理職は組織をマイナスの方向に導くことがあるため、
後々苦労しないためにも、管理職の任命は慎重に行うことが必要です。

2.管理職に求める要件を定義すること(所内での権限)

部長が部下を管理してくれない、申告書を未だに所長がチェックしているなどのお話をよくお聞きします。
ただほぼすべての事務所様に共通するのが、管理職に求める業務(所内の権限)を伝えていない・明文化していない
という現状があり、この部分に課題があるのではないでしょうか。

それぞれ課長・部長に求める業務は違いがあり、
役職に応じて求める業務の要件を制度として定義をすることが重要です。
今一度事務所の人事制度を見直し、管理職の業務をしてくれないのは、
経営側にあるのではないかと疑ってみることが必要ではないでしょうか。

3.管理職候補として管理職を育成する制度を作る
最後に、管理職に任命する前に、その候補として育成するための制度である
「サブリーダー制度」の構築をオススメいたします。
管理職に任命する前に管理職の適性を見極めることと、
管理職業務を経験させることを目的として、少人数のチーム「業務面」のリーダーとして

・チームメンバーの業務の進捗管理
・業務日報や議事録のチェック
・決算書のチェック・レビュー業務

などの業務を経験させます。
一度管理職に任命してしまうと、降格させることが難しいため、
こういった制度を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

いかがでしたでしょうか?

ぜひ皆さまも名ばかり管理職から脱却させること、
そして新たな管理職の育成のために現状分析と
サブリーダー制度の構築などに取り組まれてみるのはいかがでしょうか。

————————————————————————–
<2016年度第2回経営者実務研修>
タイトル:士業事務所の所長が経営に専念するための権限委譲の極意(仕事の任せ方)
ゲスト講師:オーリンク社会保険労務士法人 小田切 朋子 氏
日時:4月17日(日) 12:00~17:00
場所:船井総合研究所 東京本社

URL:http://www.funaisoken.co.jp/seminar/002676.html

今回の経営者実務研修も多くの事務所様の代表や幹部の皆様の悩みを解決できる
研修となっております。
代表と幹部の皆様ご一緒にご参加くださると、実際に権限移譲を進めて形にする上で
協力してもらいやすいので、非常に効果的です!
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
————————————————————————–

会計事務所コンサルティングチーム 稲冨	彰宏(いなとみ あきひろ)

稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)

「共通 」カテゴリの関連記事