2016年04月18日

分野ごとのチーム制度の導入と3つのメリット

法律事務所コンサルティングチーム 阿部 悠紀(あべ ゆうき)

現在、複数のコンサルティング先に対してご提案をさせていただいているのが、
「分野ごとのチーム制度」の導入です。

具体的には、弁護士数を5名以上に増やしていきたいケースや、
事務所の主力となる分野を3つ以上持ちたいといったケースについては、
すぐにでもチーム制を導入していただくようにしています。

チーム制では、弁護士・スタッフを特定のチームに配置し、
業務の8割程度をそのチームの業務で配分しています。

また、チームごとにチームリーダー、マネージャーを配置し、
案件・数値の管理や業務改善、メンバーの育成、マーケティング改善などを任せています。

チーム制導入によるメリットの一つは「専門性の向上」です。

法律事務所、特に地方の総合型事務所に見られるのは、
多様な分野を広く扱っているというケースで、
クライアント数は多い一方、生産性が高まらない、
ノウハウの蓄積が進まないということがあります。

今後、より一層マーケティング活動を実施する事務所が増えることを考えると、
広告戦略だけでなく、サービス面において、
他事務所との違いを明確に作れるようにしなければなりません。

そのためにも、分野ごとのチーム制をしくことで、
各弁護士・スタッフが今から専門性を身に付けていくことが重要です。

メリットの二つ目は「業務効率化、生産性アップ」です。

生産性を高めるためのポイントは、何と言っても”いかにして分業をしていくか”にあります。
ある程度の規模になってきたら、一人が何でも対応するということではなく、
特定の業務領域に絞って処理をしていく体制を取ることで、生産性が高まります。
生産性の向上は、業績アップだけでなく、人材の定着においても良い営業を及ぼします。

メリットの三つ目は「所長の負担軽減」です。各チームのリーダー、
マネージャーに権限を移譲していくことにより、
所長が新しい領域(法人営業や新規分野の開拓など)に時間を割けるようになることで、
業績を飛躍的に伸ばすことができます。

もちろん、そのためには幹部社員の育成が非常に重要になりますので、
そのあたりについては所長が力を入れていかなくてはなりません。

繰り返しになりますが、販促による差別化だけではなく、サービスによる差別化を図り、
他事務所が簡単には追いつけないレベルまで品質を高め、
安定的な顧客獲得基盤を確保することが重要です。

その意味でも、短期的な業績アップの視点だけでなく、
中長期的な経営戦略(クライアントに対してどのようなサービスを提供していくか、
他事務所との違いをどこに作るか、)を考える必要がありますし、
その一つの方法として、チーム制度を導入し、
事務所の総合力を高めていくことは有効な施策でしょう。

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