法律事務所コンサルティングチーム 鈴木 ゆたか(すずき ゆたか)
法律事務所の商品は目に見えないサービスです。
そのため事件毎の相場の料金提示が小売業などと比べて整備されていないのが現状です。
コンサルティングの現場で感じるのは、本来であれば
別途報酬をいただけるお仕事でも、着手金や報酬、顧問料の中で纏めてしまい、
通常より少ない報酬でお仕事を受けてしまっている事務所様が多いということです。
それでは何が問題なのでしょうか。
例えば下記のような例があります。
ある先生は離婚事件において、離婚問題を協議段階で終わらせ、
その内容で離婚協議書作成され、公正証書にして公証役場で
手続きまで済ますという内容で受任されました。
事件は無事解決され、依頼者の方は非常に満足していただけました。
そして依頼者の方からいただいた報酬は離婚協議代理事件の着手金15万円(税抜)と
報酬金20万円(税抜)と経済的利益の10%(税抜)でした。
さて、ここで先生方に気に留めていただきたい点が2つあります。
(1)この報酬以外にいただける報酬はなかったのか
(2)それは料金表のなかに明示されていなかったのか?という2点です。
まずは(1)から検討していきたいと思います。
この事件においては既に報酬を頂いている以外の2か所で
別途報酬をいただける可能性があると考えられます。
それが下記の(ア)と(イ)です。
(ア)公正証書作成費用
(イ)公証役場での手続き代理費用
相場に幅はありますが、(ア)の場合は離婚協議書作成にプラス3万円~5万円、
(イ)の場合は5万円~10万円ほど追加で頂いている事務所が多いようです。
もし先生方の事務所で今まで公正証書の作成も通常の報酬金の範囲内で
やってしまっていたのであれば、追加で頂くという
提案をされてもよいかもしれません。
次に(2)について検討していきます。
そもそも上記の(1)の問題は、はじめから事務所の弁護士費用の料金表に
「公正証書にする場合は別途費用を頂く」という旨の記載をしていれば、
問題なく頂けていたと考えられます。
法律事務所の料金表に多いのは、法律相談の時間と
費用の記載と旧基準の着手金と報酬金の額の記載のみ、
もしくは報酬については事務所で説明しますという記載をしているものです。
弁護士の先生に依頼される方は、弁護士費用は
非常に高額で金額が明示されていないことに不安を抱いている方が多いです。
そういった方の不安を払しょくするため、
そして先生方が適正に報酬を得るためにも、細かな料金表を作成し、
それを明示していくことが重要です。
まだ細かな料金表を作成されていない先生は、料金表の作成から。
そして作成されていても明示していない先生は
WEBや事務所のパンフレットなどに料金表を掲載していくことを
実践してみてはいかがでしょうか。
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鈴木 ゆたか(すずき ゆたか)