2016年11月14日

労務に特化した顧問先開拓モデル

法律事務所コンサルティングチーム 石黒 翔太(いしぐろ しょうた)

いつもコラムをごらん頂き、誠にありがとうございます。
法律事務所コンサルティンググループの石黒です。
今回のテーマは「顧問開拓のビジネスモデル」という事で、
お伝えさせて頂きます。

今年もいよいよ残り2ヶ月を切りました。
来期に向けて様々な計画を練られている時期かと思います。
法律事務所では、多くの事務所が個人事件によって収益が成り立っておりますが、
安定した収益を獲得するためには、法人顧問の開拓が不可欠となります。

ビジネスには2パターンのタイプが存在し、
多くの事務所が取り扱っている個人事件の分野(債務整理、交通事故、離婚など)は
フロー型ビジネスに分類されます。
フロー型ビジネスとは、単発でその仕事を請け負う形のビジネスであり、
人気が出れば大きく売り上げが上がる一方で、景気の動向や競合状況など、
外部環境に大きく左右され、安定した収益を確保するのは容易ではありません。

一方、法人の顧問契約はストック型ビジネスに分類され、
携帯電話の料金や、サーバーの管理費など、一度仕組みを作ってしまえば、
その後安定した収入が確保できるビジネスの形です。

現在、法律事務所を取り巻く状況は大きく変化しており、

(1) 債務整理に続き、交通事故分野の競争激化・市場縮小
(2) ペースは緩やかになるが、弁護士数の増員は続く
(3) 広告を行う事務所は増加、マーケティングも複雑化
(4) 全国展開事務所の支店進出、案件の集中
(5) 地域一番のサービスを展開する事務所への案件集中


と、全国展開を行っていない、あるいは地域一番事務所以外の法律事務所にとっては、
非常に厳しい状況と言えます。

このような状況下でも安定的に収入を確保し、
事務所経営を安定させる顧問契約の獲得ポイントをご紹介させていただきます。

(1)定期的なセミナーの開催
企業と接点を持つために最も有効な手段と言えるのが、定期的なセミナーの開催です。
顧問契約の主なターゲットとなる中小企業の経営者は、
問題従業員(いわゆるモンスター社員)の取り扱いや、
従業員からの残業代請求、労働組合との団体交渉など、
労務に関する悩みを多く抱えています。

セミナーを成功させる最も重要なポイントは、
「お客様の喉の渇き」
にスポットを当てたテーマ設定です。

お客様が欲しがっている情報、
興味のある情報を提供することがセミナー成功の秘訣です。
したがって、法律事務所が開催すべきは労務問題に絞ったセミナーであると言えます。

また、労務問題に関する法律は改正が多く、
昨今でもホワイトカラーエグゼンプションや、メンタルヘルスなど、
様々な法改正に対応する必要があるため、
これらをセミナーのテーマにすることも反響を獲得する上では重要となります。

(2)社労士との関係性構築
法人の顧問を開拓する上で、社労士との関係性構築は重要なポイントとなります。
社労士事務所は顧問契約を締結している企業の数が法律事務所より圧倒的に多く、
紹介案件を発生させる仕組みとしては、非常に重要な関係先になります。

弁護士に対する社労士のニーズとしては、やはり紛争案件への対応がメインとなります。
労使間のトラブルが増加し、裁判や労働組合対応に発展した際などに、
相談しながら対応できる弁護士が欲しい、というニーズは多く、
実際に船井総研の社労士事務所経営研究会に所属している社労士の先生方も
同様の悩みを抱えている先生が非常に多いです。

したがって、社労士との関係性を構築するためには、
定期的な労務勉強会の開催が有効な手段と言えます。

前述のセミナー成功の秘訣と同様に、社労士事務所に対しても、
「喉の渇き」を意識した勉強会の開催が有効です。

(3)ニュースレターによる関係性強化
前述の2つの実施していただいた後に重要なのが関係性の維持です。
多くの法律事務所ではセミナー開催後にフォローをせず、
折角作った関係を無駄にしてしまっているケースが多く散見されます。

一般的な企業であれば、営業担当がセミナー後に直接訪問し、
アフターフォローを実施するのが当たり前です。

しかし、法律事務所で営業担当を採用している事務所は極少数であり、
弁護士が自ら企業へ訪問するのは難しい部分もあるかと思います。

そこで、ニュースレターの配信を強くおすすめします。
セミナー参加者、またお申し込みをいただいた方全員にニュースレターを配信することで、
参加後も関係性を維持することが可能となります。

ニュースレターの内容もセミナーに合わせた内容にするとより効果が増します。
定期的な情報提供を行うことで、
案件が発生した際に相談していただける仕組みの構築が可能となります。

今回お伝えさせて頂いた上記3点のポイントを意識して頂き、
是非、法人顧問の開拓を実施していただければと思います。

また、法律事務所コンサルティンググループでは、
「労務問題に注力し顧問開拓をする方法」
と題し、セミナーを開催させていただく予定です。

ゲスト講師には、ベストセラーとなった
「社長は労働法をこう使え!」の向井蘭先生が登壇されます。


開催日程は下記の通りです。
2017年2月4日(土)@船井総研五反田オフィス
2017年2月19日(日)@船井総研大阪本社


今回のコラムを読んで「顧問開拓にご興味が出てきた」という先生方は、
是非、お越しください。

さらに、企業法務分野に特化した経営研究会の開催も予定しております。
こちらは上述のセミナーにて詳細をお伝えさせていただく予定です。

詳しい内容のお問い合わせは、下記にご連絡いただけますと幸いです。
株式会社 船井総合研究所 士業支援部
法律事務所コンサルティンググループ
石黒 翔太(Ishiguro Shota)
TEL:080-9465-6700
Email:s-ishiguro@funaisoken.co.jp

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