皆様、こんにちは。船井総研小川原です。
土地家屋調査士事務所のコンサルティングを開始して、はや1年が経過しようとしていますが、お陰様で北は北海道から南は九州まで地域トップクラスの事務所様(50事務所、70名近くの所長)とのご縁に恵まれています。
その先生方とのお話を通じて、感じたのは一人あたりの生産性を上げていくことが、土地家屋調査士事務所の経営には欠かせないということです。
もちろん「新規ハウスメーカー開拓をして売上を伸ばす!」「WEBマーケティングを駆使して、個人顧客の獲得にシフトする!」といった施策も重要ですし、事務所の成長には不可欠です。
一方で業界全体の採用難による人財不足、慢性化している残業といった土地家屋調査士業界の最大の課題があるのは現状です。
実際に、経営相談を受けるのは、このような課題が8割を占めているのは紛れもない事実です。「そんなことはわかっている!」「人が欲しくても採用できない!」「仕事を終わらせたいけど、なかなか終わらない!」とお思いかもしれませんが、その答えはズバリ「省人化・分業化」です。
①省人化
測量業務というのは2人1組で行うのが当たり前ではありますが、それを完全ワンマンで測量を行うということです。
個人事務所様では多く見られるケースですが、最近では技術の進歩が凄まじくワンマンで測量ができる機器を各メーカーとも販売を開始しています。単純に現場数は倍近くこなせるようになりますし、貴重で優秀な資格者、測量スタッフを適材適所で配置することが可能です。
近年、ドローン測量や自動追尾型の測量機器の発達などIT技術の波が土地家屋調査士業界にも及んでいます。「測量を機械に任すなんて考えられない」「機械が正確な測量が出来る訳がない!」といった声が聞こえて来そうですが、そういう時代になっています。15年前、20年前に電車が無人で動くことを想定できたでしょうか?スーパーの会計をセルフが行っていることを想定できたでしょうか?人ではなくても出来る業務は、機械に任せて、資格者や測量スタッフが本来やるべきことに注力させていくことが生産性を上げていくことにはまず重要なポイントです。
②分業化
「最初から最後まで自分でやってこそ土地家屋調査士だ!」これもよく聞くセリフです。
いい意味でも、悪い意味でも土地家屋調査士資格者はプロフェッショナルなので、人に任せることのできない方が多いかと思います。それ自体は素晴らしいことですし、否定はしません。
しかし、いつまでも残業が続く環境で働き続けるのは現実的に難しいのではないでしょうか。
そこで分業化です。先程の省人化と似ているところもありますが、ポイントは「資格者や測量スタッフに本来やるべき仕事に注力させる」点です。言い換えれば「資格者でなくてもいい仕事を無資格者、未経験者、パート社員に任せる」ということです。
例えば、測量が終わり、事務所に帰っている間に、事務所に測量データを送り、作図してもらったり、(測量と作図の分業)登記に必要な書類を内業スタッフに任せて、その間に立会を行ったり(立会と書類作成の分業)が代表例です。いかがでしょうか。「資格者ではなくても行っていい業務」は実は多くあると思います。まずはその業務を棚卸しし、資格者がやるべき業務と資格者でなくても出来る業務を分けて、省人化・分業化させて、それぞれを専任化させれば自ずと一人あたりの生産性は上がって行くかと思います。
そうすれば、新規開拓ができ、取引先も増え、売上が上がっていくことも然ることながら、残業時間が減り、従業員も休みが取れ、公私共に充実した生活が送れるようになるのです。
土地家屋調査士事務所の経営者としては、売上が伸びるよりも重要な成果であるのかもしれません。
ぜひこれを機会に「省人化・分業化」にシフトしてみてはいかがでしょうか?