2020年02月28日

組織の問題・課題を先送りにしていませんか? 10名規模から30名規模へ成長するための内部環境分析 <3つのポイント>

こんにちは!船井総合研究所の稲冨です。
今回のコラムではこれから士業事務所で30名規模以上を目指す経営者にぜひ読んでいただきたいコラムです。

早速ですが、今回のコラムの結論の「QとA」です。

Q:10名規模から30名規模の組織に成長するために組織マネジメントで必要なことは?
A:組織の問題・課題を“見て見ぬふをせず”、“事前に内部環境分析”を行い、“課題解決に向け行動する”こと

以前 成長の踊り場を作らないための「組織化のステップ」についてお伝えいたしましたので、
まずはこちらも一読ください。

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事務所の “成長の踊り場” を作らない!「組織化のステップ」を踏み120%成長を実現する方法とは?
https://samurai271.funaisoken.co.jp/blog/shigyo_190315.html
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経営者の方々から経営相談やコンサルティングの場でこのような質問を多くいただきます。

Q「10名規模から30名規模の組織に成長するために組織マネジメントで必要なことは何ですか?」

 その答えは  

A「組織の問題・課題を見て見ぬふりをしないこと」

です。

組織マネジメントにおいての課題は「人」に関する課題・問題が多く、あまり触れたくないというのが本音ではないでしょうか。その問題・課題に対応する経営者の心労は計り知れないものです。
しかし、この部分を見て見ぬふりをすることでより問題は大きくなり、組織化ができないことは当然のこと、人間関係含めて組織が崩壊してしまい、3年~5年 成長が止まっていることも多くあるのではないでしょうか。では、具体的にどのように組織全体を見ていくのでしょうか?
実は、問題・課題については、シンプルなものが非常に多いため、今回はポイントを押さえた上でその具体的な方法をお伝えいたします。

目次
● 組織の問題点・課題点を捉えるための「内部環境分析」を実施すること
 ● 戦略 -Strategy- のポイントは管理会計の導入ができているのか?
 ● 組織体制 -Structure- のポイントは、間接機能の設計ができているのか
 ● 制度・システム -system-のポイントは、エンゲージメントへの理解と人事評価制度の目的の理解ができているのか

● 組織の問題点・課題点を捉えるための「内部環境分析」を実施すること

組織の問題点・課題点がない事務所は絶対に存在しません。
そのためまずは内部環境分析をすることをおススメします。

内部環境分析のポイントは次の7つです。

□ 船井流長所伸展の考え方を理解できているのか?
□ 網羅的に経営課題を捉えられているのか?
□ 中長期的課題と短期的課題に分けられているのか?
□ 自社の長所・短所・欠点を把握できているのか?
□ 長所は伸ばす・欠点は改善することができているのか?
□ 課題解決の優先順位は明確なのか?
□ 課題解決のための施策イメージはできているのか?

当然これだけでは内部環境分析は実施できないため「組織の7S」を活用しています。
今回は組織の成長阻害要因になるマネジメント部分にフォーカスをするため「ハードの3S」のポイントについてお伝えいたします。

● 戦略 -Strategy- のポイントは管理会計の導入ができているのか?

当然上記のように現状及び今後の事業戦略をどうしていくのか?は当然重要なのですが、ここで一番重要なことは、自社を数値で語るための「管理会計の導入ができているのか?」です。

数字で自社を捉えられていない場合には、戦略も戦術もないためまずは最低限上記の8つの数値を把握する仕組みは必須です。
まずは自社にとって“必要な数値”を“即時に“把握”するための仕組みがあるのか?を分析することをオススメいたします。


● 組織体制 -Structure- のポイントは、間接機能の設計ができているのか

これまでの10名規模~30目規模の事務所で組織マネジメントが上手くいかない組織の特長として「間接機能の設計」が適切にできていないケースが非常に多いです。
「代表が請求書の発行をしていませんか?」
「代表が未収金の管理を行っていませんか?」
「代表が会計システムへの入力をしていませんか?」
など、実は成長している事務所でも結構このようなケースが多いです。
間接機能の設計ができていない場合、総務系の業務を代表が担っているケースが多く、また仮に代表ではないケースにおいても優秀な社員にその業務が集中してしまい、業績アップに集中できない、そして本当に課題解決すべきことに集中ができないなど、その要因により組織に不和を起こすケースが多いです。
そのため、間接機能の設計の目安として

としてまずは自社の間接機能の設計及び充実ができているのか?を見直すことをオススメいたします。

● 制度・システム -system-のポイントは、エンゲージメントへの理解と人事評価制度の目的の理解ができているのか

採用・定着・育成・システム・ワークライフバランス・情報共有・コンプライアンスなど幅広く分析が必要ですが、今回は定着面にフォーカスをいたします。
定着面においては、下記の4つを取り扱うケースが多くありますが、今回は従業員エンゲージメントへの理解と人事評価制度の関係性についてお伝えいたします。

まず、エンゲージメントという言葉をご存知でしょうか?3年前くらいから日本でも言葉として活用され始めました。

2017年度に米国で実施された調査で仕事への熱意度ランキング(2017年)において日本は139ヶ国中132位と世界でも最下位クラスであり、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかいないというデータが出ていました。
これからの多様化された価値観の時代にといては、単なる従業員満足度ではなく、エンゲージメントをいかに高められるか?で組織の成長性は決まります。具体的には、

・社員ひとりひとりがどのような考えなのか?
・どのような軸があるのか?
・どのようなキャリアビジョンなのか?

上記3つを踏まえて個人別にどのようなミッション・役割を担ってもらうのか? を考えることが必須な時代になりました。それを進めていくためにも人事評価制度が必須です。
これからの人事評価制度の定義は下記です。

離職率を下げることが目的ではなく、組織と個人の方向性が一致しているか?そしてその個人がミッション・役割を担っているか?が重要です。
実際のコンサルティングの現場においても人事評価制度の運用は非常に有効です。人事評価制度を導入して運用した事務所においては3年間の離職率は下がっています。(離職率:30%→15%)ただ、離職率が重要ではなく、離職者が自社にとって本当に必要な人材だったのか?を考えることが必要です。

今後の人事評価制度の在り方についても見直しをしていくことが必要です。そのためにもまずはエンゲージメントの理解を進めることをオススメします。

いかがでしたでしょうか?

Q:10名規模から30名規模の組織に成長するために組織マネジメントで必要なことは?
A:組織の問題・課題を“見て見ぬふり”をせず“事前に内部環境分析”を行い、“課題解決に向け行動する”こと

これまでもお伝えした通り、今後の事務所の成長・発展は「組織化」で決まります。
ただ、その組織化は正しく内部環境分析を行い、自社を捉えた上で施策を実施していかなければ組織化はできません。まずは組織の問題・課題を“見て見ぬふり”をせず“事前に内部環境分析”を行い、“課題解決に向け行動する”ことをオススメいたします。

【この記事を書いたコンサルタント】

シニア経営コンサルタント 稲冨 彰宏(いなとみ あきひろ)

役職:チームリーダー 幼い頃から土木卸業を経営する祖父の姿を見て育つ。 大学卒業後、大手システムコンサルティング会社に入社し、会計事務所向けシステムコンサルティングを経験。 在職中の業績達成率は100%を記録、優秀実績賞を3度受賞とトップクラスの成績を残す。 その後、会計事務所における採用・定着といったマネジメントの課題を解決する力を付けるため、船井総合研究所に入社。 船井総研入社後は、TKC時代より一貫して従事してきた税理士業界の経験を活かし、 従業員数5名規模の事務所から100名を超える事務所における評価制度構築・運用・定着を支援した実績を持つ。

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